日本の5G普及は20%、LPWA/Wi-Fiも急成長シスコが予測する「2023年のインターネット」

シスコが2020年2月に発表した年次調査書「Cisco Annual Internet Report(AIR)2018-2023」は、2007年から10年以上にわたり世界のインターネットトレンド分析と成長予測を行ってきた「Cisco Visual Networking Index(VNI)」をリブランドしたものだ。この度、日本に関する詳細データが公開されたので、日本法人で業務執行役員を務める河野美也氏の解説を交えてキーポイントを紹介する。

Cisco AIRは、2018年から2023年までのネットワークの成長を予測している。世界全体の傾向を7つのポイントで示したのが下の図表だ。


2023年までの成長トレンド(クリックして拡大)

特に成長が目覚ましいのがIoT関連である。世界のデバイス/接続数が293億に達するなか、その半数の147億をM2M/IoTデバイスが占めると予測している。なお、インターネットユーザー数は2023年に53億人に達する見込みで、世界人口の約3分の2がインターネットにアクセスできるようになる。

世界全体で見れば、インターネットユーザーもM2M/IoTデバイスもともに急成長するが、当然、地域・国ごとの差も大きい。河野氏が「IoT関連での躍進が大きい」と指摘するのが日本だ。

2023年の日本におけるM2M/IoTデバイス接続数は、全接続数の実に70%に達するとCisco AIRは予測している(2018年は52%)。「1人あたりのインターネット接続デバイス数は、世界全体では3.6だが、日本では11.1まで増える」という。


日本におけるデバイス/接続数(クリックして拡大)

M2M/IoTデバイス接続数の内訳については、コネクテッドホーム関連が過半数を占める見込み。2018年比の成長率では、コネクテッド・カーが最も高いとしている。

5GとともにLPWAも伸びる
このIoTの急成長を下支えするネットワークは、2023年までにどう進化するのか。以下、モバイルネットワーク(セルラー網)に関する予測を見てみよう。

Cisco AIRでは、2023年の日本の状況を次のように予測している。

モバイルユーザー数は2018年とほぼ変わらない(1億1100万)が、M2M/IoTデバイスを含めたモバイル接続数は2018年の2億1400万から3億8100万に増加する。また、5Gが普及することでモバイルネットワークの高速化も進展し、平均速度は2018年の2.6倍にあたる62.6Mbpsに達するという。

その5Gは「他の地域に比べて日本は立ち上がりが速い。2023年時点で全モバイル接続の20%程度が5Gになる」(河野氏)。全世界では、モバイル接続の11%が5Gになる見込みで、日本の普及率はその約2倍になると見込んでいる。なお、5Gの平均速度(世界)は2023年までに575Mbpsに達すると予測している。

さて、日本のモバイル接続に関しては、もう1つ興味深い予測がある。LPWAの躍進だ。「LoRaがけっこう使われている。5Gとはまったく異なる特性があり、5Gが普及しても、LPWAも補完的な役割で増え続ける」という。


ネットワークタイプ別の接続数(日本)

上図表の通り、2023年には全モバイル接続の32.5%をLPWA(水色の線)がサポートすると見ており、世界平均(14.4%)、アジア太平洋地域の平均(12.0%)と比べて突出して高い数値となっている。

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