ソフトバンク本気のクラウド戦略 Azureの最高パートナーに認定

ソフトバンクがクラウドに“本気”だ。最高位のMicrosoft Azureパートナー認定を取得。通信・ネットワークに加えて、クラウドサービスの導入から運用までをフルサポートできる組織に生まれ変わったという。

約7万社。認定されたのはわずか3社のみ――。ソフトバンクは2020年2月13日、Microsoft Azureパートナープログラムの最高位「Microsoft Azure Expertマネージドサービスプロバイダー(Expert MSP)」と、優れたネットワークサービスプロバイダーが受けられる「Microsoft Azure Networkingマネージドサービスプロバイダー」の2つの認定を受けたと発表した。現時点でグローバルに7万社ほど存在するAzureのパートナーにおいて、Expert MSPの認定を受けているのは50社ほど。2つの認定を取得しているのはわずか3社のみだ。

当然、この認定を受けるのは容易ではない。「まずは通信キャリアとしての殻を破るところからスタートした」とソフトバンクの石田貴史氏は振り返る。既存の枠組みでは実現できなかったため、人材を社内から横断的に集め、2年前から準備と議論を重ねた末での認定だったという。

(左から)ソフトバンク インテグレーション部部長 石田貴史氏、課長 和田正紀氏

(左から)ソフトバンク クラウドエンジニアリング本部
IoTサービス統括部 インテグレーション部部長 石田貴史氏、
クラウドエンジニアリング本部 クラウドエンジニアリング統括部
PaaSエンジニアリング部 第4課 課長 和田正紀氏

準備は、新組織の立ち上げから始まった。Expert MSPに認定されるには、まずクラウドサービスを提供する専門の組織や体制を構築する必要があったからだ。ソフトバンクの社内には当時、そうした組織は存在しなかった。

もちろん組織を作って終わりではない。技術面やサービス導入実績だけでなく、中長期的な会社の事業戦略からガバナンス、人材の育成計画、採用計画など約70項目を監査され、そのうち90%以上に合格する必要がある。中には要求を満たしていないと“一発不合格”となる基準も存在する。監査人もグローバルの監査機関から派遣されるため、英語での説明や、膨大なエビデンスの用意が必要だ。「エンジニアチームを率いるトップが辞めた場合に備えて、後継者を誰に据えて、どういったトレーニング計画を用意しているかを示す必要もあった」と石田氏は話す。

苦労した“理由”Expert MSPに認定されると、新ソリューション開発の支援や、マイクロソフトから技術トレーナーを派遣してもらえるなどのメリットもある。ただ、認定を取得した狙いについて、石田氏は「差別化を図りたかった」と説明する。

ユーザーのクラウドシフトが進む中、クラウド向けの構築・運用を得意とするSIerも増えている。

ソフトバンクは以前からクラウドに接続するためのネットワークサービスだけではなく、Azureや、「Office365」をはじめとするクラウドサービス自体もユーザーに提供していた。しかし、通信キャリアのイメージが強いということもあって、「回線だけあればいいよ」と言われたこともあったという。そこでクラウドの構築や運用を含むMSPサービスを開始するにあたり、数多いるクラウドベンダーの中でブランディングを図るために認定取得を目指したのである。

月刊テレコミュニケーション2020年4月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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