無理なくできる ICTコストの減らし方[#02]FMCでコスト削減と業務効率アップ

不要なコストを排除し、浮いた経費を原資として新たなICTツールで業務効率化を目指す。ICTコストの最適化こそ、企業を強くする第一歩だ。通話料や通信費、機器導入・運用コストをカットする40の秘訣をシリーズで紹介する。

携帯同士はもちろん、携帯固定間も含めて、社内の電話をすべて定額化できるのがFMCサービスだ。NTTドコモの「オフィスリンク」、KDDIの「ビジネスコールダイレクト」、ソフトバンクの「ホワイトオフィス」、そしてウィルコムの「W-VPN」と主要キャリアのサービスが出揃っている。携帯電話も内線番号で運用できて保留や転送も可能と、業務効率化のメリットも大きい。

社内の内線システムとの接続方法や導入形態、機能面で各社のサービスには異なる点があるが、大まかに、「FMCで何が可能になるのか」を整理しておこう。

まず、導入形態について。FMCサービスは基本的に、ユーザー企業内のPBX/ビジネスホンと、キャリア網内のセントレックスサーバーを専用線やフレッツ光で接続する。このサーバーを介して、PBX配下の電話機と携帯電話間での内線通話を実現している。導入に当たっては、既存PBXとの接続の可否を調べ、場合によってはPBXのソフトウェアアップデートや入れ替えが必要になる。

なお、携帯電話だけで内線転送等が可能なため、思い切ってPBXと固定電話機を廃し、FMCサービスだけ、つまり携帯電話だけで企業内線システムを作ることも可能だ。部署異動による電話機の移設費が不要になるなど運用コスト面でもメリットは大きい。外勤社員や在宅勤務が多い場合や、フリーアドレスオフィスなどでは有効な選択肢だろう。もちろん、PBXと固定電話を全廃しなくても、一部の部署を携帯電話だけにするなど、柔軟な構成が取れる。

初期費用は、携帯電話の内線登録料が1番号(回線)当たり1000円前後、事業所番号(拠点)登録料が1000~2000円。その他、ゲートウェイ等の物品費や工事費が必要になる。

月額費用は、サービス利用料が携帯1端末(回線)当たり945~980円、接続料が1ch当たり420円、内線グループ基本料がグループ当たり2100円かかる。また、アクセス回線の接続料・利用料も必要になる。

見逃しがちな「拠点間内線」

図表1は、FMCによって定額化できる通話の範囲を示したものだ。携帯同士、携帯と社内の通話が無料となる。また、PBXによっては、携帯からの外線をPBXを経由して割安な固定回線から発信させる機能を持つものもあり、これによって外線通話コストも削減できる。

図表1 FMCサービス(PBX連携)で無料化・低廉化できる通話
図表1 FMCサービス(PBX連携)で無料化・低廉化できる通話

また、意外と見逃されがちなFMCのメリットがもう1つある。複数拠点をまとめて内線化できることだ。

固定電話では従来、IP電話網とPBXの機能を使って拠点間を内線化する手法が取られてきたが、複数拠点をまとめてFMCを適用すれば、多拠点の固定・携帯をまとめて内線化できる。

内線運用による業務効率化という眼に見えないメリットも含めると、どの企業にとっても一度は検討する価値のあるサービスと言えるだろう。

図表2 FMC導入による月間通話量の削減イメージ
図表2 FMC導入による月間通話量の削減イメージ

[#01]シンプルかつ使いやすくなった法人向け携帯割引
[#03]「FMC=大企業」は大間違い
[#04]クラウドPBXでFMCがもっと身近に
[#05]企業間通話を無料化できる「.Phoneユビキタス」
[#06]拠点間・県外通話コストをひかり電話で大幅カット
[#07]広げよう「ひかり電話の輪」

月刊テレコミュニケーション2010年9月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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