今、教育分野でのICT活用が注目を集めている。文部科学省は全国の学校に一律でICT環境を整備させることを目指す「GIGAスクール構想の実現」を打ち出し、12月5日に閣議決定した経済対策に盛り込まれた。経済対策には「学校における高速大容量のネットワーク環境(校内LAN)の整備を推進するとともに、特に、義務教育段階において令和5年度までに、全学年の児童生徒一人一人がそれぞれ端末を持つ」と明記されており、小中高等学校における通信環境の整備は今後急速に拡大していくと見られる。
しかし、高速な無線LAN環境を整備するまでの道のりは険しい。
「学校のネットワークを考えた場合、校内だけでなく、校外への通信も含めて総合的に考える必要がある」と説明するのは、NECプラットフォームズ 開発事業本部 アクセスデバイス事業部 ビジネス推進グループの大西弘樹氏だ。
まず、「そもそも校内に無線LANが整備できていない、あるいは整備はされていても性能が不十分」という課題がある。無線LANの性能が不十分とは、「例えば1年1組で使っていたタブレットを6年2組に持って行った際に、前のアクセスポイントを繋いだまま離さなくなる」といったローミングの問題や、隣の教室のアクセスポイントとの干渉、導入機器が家庭用モデルで多数接続に耐えられないといった状態だ。
次に校外へ目をやると、インターネット接続や学校・教育委員会間のVPNを実用に耐えうる高速なものにする必要がある。
「結局、無線LANを整備して何をしたいかというと、子どもたちに教育用クラウドサービスを利用させたり、調べもの学習をさせたいということ。つまり必ず校外に通信が出る必要がある」(大西氏)からだ。
ところが、そもそも現状の学校間VPNやインターネット回線は低速なことが多く、「校内に性能の良い無線LAN機器を導入するなら、校外への通信も併せて改善が必要だ」。
そこで校内の無線LAN環境は、①教育委員会と学校間のVPNを強化する、②インターネット接続を高速化する、③校内の無線LAN機器整備の3つの観点から強化する必要があると大西氏は指摘する。