キーパーソンが語る

OKI坪井常務「社会インフラ×IoTは新段階へ、ディープラーニングをエッジに実装」

聞き手◎太田智晴(編集部) 2019.12.20

  • bookmark
  • Teitter
  • 印刷

OKI 取締役常務執行役員
情報通信事業本部長 坪井正志氏

「社会インフラ×IoT」を旗印にした成長路線を軌道に乗せたOKIが、次のフェーズに突入する。カギを握るのは、「これからのOKIを引っ張っていく戦略的商品」だというAIエッジコンピューター「AE2100」。ディープラーニングの推論がエッジで容易に実現できるようになり、IoT/AIの社会実装がいよいよ本格化すると坪井正志常務は意気込む。


――情報通信事業本部長に就任して3年目を迎えましたが、情報通信事業は業績好調ですね。昨年度は増収増益、今年度はそれをさらに大きく上回る勢いです。

坪井 我々は2016年、それまで別々だった情報系と通信系、公共系の組織を1つの事業本部にまとめた現在の組織体制に移行しました。そして、私が事業本部長に就任した翌年の5月に発表した「中期経営計画2019」において、成長戦略の柱として打ち出したのがIoTです。

OKIという会社は従来からICTによる社会課題の解決に取り組んできましたが、デジタルトランスフォーメーション(DX)の時代になり、IoTなどの技術のレベルも非常に上がってきました。そこで「社会インフラ×IoT」という軸で注力分野を決めて、ビジネスをどんどん成長させていこうと考えたわけです。

今年度は中期経営計画の最終年度ですが、計画以上に進んでいるという認識を持っています。

――「社会インフラ×IoT」路線は、しっかり軌道に乗ったと。

坪井 そうですね。中期経営計画を発表した当時は、まだSociety5.0やSDGsへの関心はそれほど高くありませんでした。しかし、今やグローバルでも日本でも、ICTで社会課題を解決しようという動きが各業種で加速しています。

そうしたなか、「ベース事業」と呼んでいる既存ビジネスは大変好調ですし、IoTを軸とした「成長事業」での新しい取り組みも順調に進んでいます。

坪井正志氏


――10月3日には「成長事業」における新たな打ち手として、AIエッジコンピューター「AE2100」を発表しました。狙いは何ですか。

坪井 IoTのPoC(コンセプト実証)に数多く取り組むなか、解決しなければならない課題が明確になりました。エッジ側でAIをしっかりと動かせるコンピューターが「どこにもない」という課題です。

――そうなのですか。

坪井 ここで言っているAIとは、分かりやすく説明すると、ディープラーニングの推論です。

――機械学習/ディープラーニングは、AIの性能を向上させる「学習」と、それで出来た学習済みモデルを用いて結果を出す「推論」の大きく2つのプロセスに分かれています。

坪井 さすがに学習は、クラウド側で行えばいいと思います。しかし、推論はデバイスに近いエッジ側で実行した方が、よりリアルタイムに結果をフィードバックできますし、ネットワークの負荷も少なくできます。さらにセキュリティのため、外部にデータを出したくないというニーズもあります。エッジ側の業務特化型システムを強みにしているOKIとしては、そのためエッジコンピューティングが非常に重要であると考えてきました。

ところが、現在ある産業用コンピューターなどでは、パワーが足りないのです。

――ディープラーニングの推論を行うのに十分な処理能力を有したエッジコンピューターが存在しないということですか。

坪井 そうです。これまであったのはIoTゲートウェイ的な発想の製品で、AIを動かすためのエッジコンピューターはありませんでした。

もちろんGPUをたくさん搭載したサーバーであれば、AIはしっかり動きます。しかし、そんなものをエッジにばら撒くわけにはいきません。エッジでは、コストパフォーマンスが重要だからです。

工場をはじめ、いろいろな産業用途での活用を考えますと、インターフェースも重要です。ノートPCは、RS-232CやRS-485といったレガシーなシリアルインターフェースを搭載していません。また、耐環境性も当然ながら必要です。

ディープラーニングは非常に強力な技術であり、データさえあれば、いろいろなAI処理が実現できる時代になっています。しかし、エッジで推論を行うためのハードウェアプラットフォームだけがなかったのです。

ただ、それも無理はありません。「AIエッジ」という市場自体がこれまで存在しなかったのですから。

――そこで自ら作ることにしたというわけですね。

坪井 そうです。「市場になかったから」というのが一番の動機です。私たちはこの3年間、数多くの顧客とDXに関する共創に取り組むなか、AIエッジコンピューターの必要性を強く感じてきました。現場の本当のニーズを把握していたからこそ、AE2100を開発したのです。
続きのページは「business network.jp」の会員の方のみに閲覧していただけます。ぜひ無料登録してご覧ください。また、すでに会員登録されている方はログインしてください。

著者プロフィール

坪井正志(つぼい・まさし)氏

1983年3月慶應義塾大学工学部管理工学科卒業後、同年4月OKI入社。2002年4月マルチメディアメッセージングカンパニー・プレジデント。05年4月情報通信事業グループIPシステムカンパニー・プレジデント。08年4月グローバルビジネス本部長。09年4月OKIネットワークス取締役。11年4月通信システム事業本部企業ネットワークシステム事業部長。15年4月執行役員、16年4月情報通信事業本部副本部長兼企業ソリューション事業部長。17年4月常務執行役員、情報通信事業本部長(現)、19年6月取締役常務執行役員(現)

スペシャルトピックスPR

zen2102
yamaha21021
yamaha21022

>> 今月の月刊テレコミュニケーション

月刊テレコミュニケーション【特集】ワイヤレスIoT最新動向

 
●セルラーLPWA ●Sigfox ●LoRaWAN ●ELTRES
 ●ZETA ●Wi-SUN FAN ●IEEE802.11ah ●RedCap
 ●Bluetooth ●UWB ●Amazon Sidewalk ●ワイヤレス給電

インタビューシスコシステムズ 代表執行役員 社長 中川いち朗氏「新市場作りがシスコの使命 5Gと企業ネットの融合へ」 【ソリューション特集】無線LANのニューノーマル 【技術&トレンド】eSIM/OPC UA

>>詳しい目次を見る

スペシャルトピックス

マクニカホワイトボックスも非純正トランシーバーも無料で触れるラボが誕生

「オープンネットワーキングやりたい」なら集まれ!

ソネット「圧倒的な」コスパのWi-Fi
ライセンス費用無しなのに管理も簡単

だから今、企業向けWi-Fi市場でシェア急拡大中のUbiquiti!

ヤマハハイブリッド型ワークスタイルを
ヤマハのAPが快適に

クラウド型管理サービスで、強靭な無線LANを少ない運用負荷で!

ヤマハリモート会議に対応した
無線LANのアップグレード

新しい働き方には、一段ベースアップした無線も不可欠だ!

NECプラットフォームズ無料クラウドからネットワーク管理

管理負荷の増大なしで、自宅やサテライトオフィスにも高速・安定したネットワーク環境を!

ジュニパーネットワークスハイブリッドワーク時代の
企業ネットワークはAIで最適化

ジュニパーから、AIを最大限に駆使した有線・無線のソリューション。

アライドテレシス無線LAN×IoTのスマートオフィス

アライドテレシスの京橋イノベーションセンター。無線LANで最先端のスマートオフィスを実現している。

ハイテクインター電話回線があればWi-Fi 6!
工事不要で安価に900Mbps実現

光回線が敷設できない場所でも高速通信を諦める必要はない!

ネットギアジャパントライバンドメッシュWi-Fi

広エリアへ高速・安全・シームレスな無線を手軽に構築!ネットギアの中小企業向けメッシュWi-Fi

ラックなぜラックはオープンネットワーキングと自動化へ踏み出せたのか?

キュムラス+メラノックスでハード/ソフトを分離!

NTTコミュニケーションズ企業の現状を踏まえた
ゼロトラスト環境を実現

NTT Comの「SASEソリューション」は課題を一挙に解決する。

IIJグローバルソリューションズSASEを導入しながら
通信速度を20倍に!

Cato Cloudがグローバル企業のビジネスを加速させる。

ゼンハイザージャパンWeb会議の音声を明瞭に届ける!
独自機能で話者を自動追尾

Web会議のニューノーマルとして注目の天井常設シーリングマイク!

エヌビディアGPUとDPUで飛躍する5G

エヌビディアが、5Gネットワークの展開を大きく加速させる2つのソリューションを発表した

ゼットスケーラークラウドネイティブなSASEで
レガシーなIT環境から脱却

新しい働き方へ、セキュリティとネットワークを着実に変革できる。

パロアルトネットワークス再びの緊急事態宣言! 今度のテレワークはSASEを活用せよ!

パロアルトの「Prisma Access」でセキュリティの課題解決。

エイチ・シー・ネットワークス株式会社真のゼロトラストアクセスを実現
「他製品連携」で効率的にSASEを

既存環境を大きく変えることなく移行できる次世代セキュアアクセス!

PSI/パイオリンク日本よ、攻勢の防御策を持つべし PSIが見つけたセキュリティスイッチ

日本の商社と韓国セキュリティベンダーが出会い生まれたシナジーとは

ベンキューAndroid内蔵で即座にプレゼン開始
「PCレス」なWeb会議も実現する

Android 6.0を搭載した“スマートな”プロジェクター「EW800ST」

ジュニパーネットワークスジュニパーが解説する
「SD-WAN導入のポイント」

ますます注目のSD-WAN。自社にとって最適なSD-WANは何だろうか?

ジュニパーネットワークスこれからのネットワーク運用に
なぜAIが必要なのか

ジュニパーがイベント開催!主要テーマの1つがAIによる運用自動化だ。

エヌビディアエヌビディアが目指すネットワークの未来像

メラノックスとキュムラスを買収し、NW事業を強化した狙いとは?

マクニカ“非純正”光トランシーバーを
朝日ネットが選んだ2つの理由

トランシーバーは純正品を使うという“常識”は、もはや過去のもの。

ソフトバンククラウドPBXとFMCをワンストップ
withコロナ時代の電話の課題解決!

ソフトバンクのConnecTalkでリモートワークの会社電話の悩み解消。

レンジャーシステムズローカル5G導入するならレンジャー
国内初のSA構成の免許取得も支援!

ローカル5Gの「本命」SA構成の免許取得はじめワンストップ導入支援。

マクニカIP化で“新しい放送”の世界
NVIDIAの新技術が導く未来とは?

IP化がもたらす放送の未来についてマクニカとエヌビディアが語った。

CASO複数SIMで切れないモバイル通信!
映像伝送から産業用まで幅広く対応

独自技術「Speed Fusion」で、安定して切れない、高速モバイル通信!

ネットギア業務用AVのIP化は「SDVoE」

大規模なデジタルサイネージや
ビデオウォール等への映像配信を、
もっと低コスト・シンプルに!

LANが届かない、電源がない──。
映像伝送の「困った」を解決!

IP監視カメラの設置を諦めていた企業に朗報!

NTTコムウェアスマホの中に会社の電話機が入り
テレワークでも固定電話に対応!

テレワーク時の電話対応をどうすれば? クラウドPBXで解決だ!

マクニカネットワークス株式会社/Actility S.AIoTで勘や記憶に頼らないコロナ対策

IoTによる換気と接触の見える化で、データに基づいた「3密回避」が簡単に実現できる。

原田産業なぜ、5Gの「超低遅延」の実現に
高精度な時刻同期が不可欠なのか?

5Gの真骨頂「超低遅延」に欠かせない高精度グランドマスタクロック!

Juniper Virtual Summit for Japanジュニパーがオンラインイベント
AIOps、5G、クラウドの最新情報!

<12月3日開催>加速するクラウド活用とネットワークの変革

スリーダブリュー多彩なローカル5G関連企業と連携

スリーダブリューは、多様なプレイヤーと連携し、ローカル5Gの課題をワンストップで解決できる。

RADWIN4.9GHz帯無線で建機の遠隔操作!

鉄道での実績に加え、昨今は建機や港湾クレーンの遠隔操作を実現する無線インフラとしても注目。

ホワイトペーパー
ネットワーク解放宣言
ローカル5G情報局

アクセスランキング

tc202012

「通信」の力でビジネスを進化させるbusinessnetwork.jp

Copyright(c) 2020 RIC TELECOM Co.,Ltd. All Rights Reserved. 記事の無断転載を禁じます