ローカル5Gで「独走」目指すエイビット

「ローカル5G」を導入するためのソリューションを、エイビットが来年初頭から展開する。端末20台と基地局装置のセットで“本気でローカル5Gの導入を検討する企業”をサポートしていくという。

「ローカル5Gですぐに使える基地局は、当社のもの以外にはないはず。独走できるのではないか」

東京・八王子市に本社を置く通信デバイスメーカー、エイビットの檜山竹生代表取締役社長CEOは、同社が2020年1Qに投入を計画する「5Gソリューション」に強い期待をかける。

携帯電話事業者以外の企業・団体が、限定されたエリアで免許を得て5Gを運用できる「ローカル5G」への関心が、高まってきた。総務省は、5G用周波数帯の一部(28GHz帯900MHz幅、4.6GHz帯200MHz幅)を2020年夏までにローカル5Gで利用できるようにする準備を進めている。その中で先行利用される28GHz帯100MHz幅の免許申請の受付が年内にも始まる見込みだ。

エイビット代表取締役社長 CEOの檜山竹生氏。手にしているのは、ローカル5G用基地局装置(左)と端末(右)
エイビット代表取締役社長 CEOの檜山竹生氏。
手にしているのは、ローカル5G用基地局装置(左)と端末(右)

実証試験で培った技術でローカル5G実用化ローカル5Gは、スマートファクトリーや建設機械の遠隔操作など、様々な分野で活用が期待されているが、檜山氏は導入には課題が少なくないと指摘する。その1つが、機器の調達である。

ローカル5Gでは、商用5Gの基地局装置や端末をそのまま利用できる。とはいえ「5G機器を手掛ける海外の大手ベンダーはキャリア向けビジネスが中心。エンタープライズ向けとなるローカル5Gへの対応はかなり先になるのではないか」(檜山氏)。コスト面でも高価な商用サービス用の5G機器は、企業にとって使いにくい。そこでエイビットでは「ローカル5Gソリューション」の提供で、この状況を打開しようとしているのである。

その準備にも抜かりはない。総務省が行った2017年度5G総合実証試験では、情報通信研究機構(NICT)が中心となって実施した2万台規模の同時多数接続実験において、エイビットが試験装置の開発を担当。また2018年度には、橋梁に設置された80台の振動・歪センサーのデータを5Gで集約、老朽化の程度を判断する実験システムの開発に携わった。

これらで培った技術を活かし、同社では5Gの計測装置をいち早く開発・商用化し、さらに今回、ローカル5G向け機器の製品化に挑もうとしている。エイビットといえば、PHSサービス向けの測定機やチップセット、デバイスの提供などで実用化に大きく貢献した企業として知られており、檜山氏は「ローカル5Gでも同様の展開を実現したい」と意気込む。

月刊テレコミュニケーション2019年10月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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