ローカル5Gで農業革命 NTTアグリテクノロジーの「農業エコシティ」構想

日本の農業従事者の平均年齢は約67歳――。IoTなどによる農業改革が待ったなしの状況だ。NTTアグリテクノロジーはさらにローカル5Gを活用し、地域を活性化させる「農業エコシティ」構想を描いている。

「食こそが、人にとっての一丁目一番地」

こう語るのは、NTTアグリテクノロジー 代表取締役社長の酒井大雅氏だ。NTT東日本の子会社である同社は、NTTグループ初の農業生産法人。今年7月に設立された。

なぜ通信事業者が農業法人を設立したのか――。それは、農業従事者の高齢化を背景に、人にとっての“一丁目一番地”が危機に瀕しており、ICTが解決策として期待されているからだ。

「今や農業従事者の8割が60歳以上で、平均年齢は67歳くらいといわれている。日本の国土、日本の食を守ってきた方々の高齢化が進み、農業従事者の数はこの30年間で半減した」と酒井氏は話す(図表1)。

図表1 国内農業の市場環境
図表1 国内農業の市場環境

地域経済にとって、農業は重要な基幹産業の1つだ。「地域社会の課題解決」をNTT東日本は使命に掲げているが、各地の自治体に課題や期待を尋ねると「真っ先に農業が挙がる」と酒井氏は明かす。高齢化がさらに進む今後、農業の担い手はますます減少していく。「食料自給率が下がり、海外への依存率が今以上に高くなると、食の安全保障にも影響してくると思っている」

NTTアグリテクノロジー 代表取締役社長 酒井大雅氏
NTTアグリテクノロジー 代表取締役社長 酒井大雅氏

ただ、明るい話もある。かつて日本の農業は、家族経営が中心だったが、農業の「法人化」が近年進んでいることだ。「実は、農業法人はここ30年で7倍に増え、農地の集約・集積が進んでいる」

農業の大規模化が進展すると、効率性が高まり、生産性も向上する。また、従来の農業ビジネスのやり方を変革するための投資もしやすくなる。例えば、IoTをはじめとするICTの活用だ。

NTTアグリテクノロジーは、IoT/AIを活用した「次世代施設園芸」の拠点を自ら整備し、そこで培ったノウハウをもとに、農業生産者にトータルソリューションを提供するために設立された。

月刊テレコミュニケーション2019年10月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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