キーパーソンが語る

「IoTセキュリティと情報銀行が“インターネット前提社会”の基盤」 慶應大・砂原秀樹教授

聞き手◎太田智晴(編集部) 2019.08.06

  • Teitter
  • facebook
  • 印刷

慶應義塾大学大学院
メディアデザイン研究科 教授
砂原秀樹氏

インターネットの存在が、社会の前提条件となった現代――。さらにIoT、5G、AIなどのテクノロジーが普及していく今後、世の中はどこに向かっていくのだろうか。日本のインターネットを立ち上げた1人であり、話題の「情報銀行」についても早くから推進してきた慶應義塾大学の砂原秀樹教授に、今からやってくる未来と、これから重要性が増す取り組みについて聞いた。

 
――日本のインターネットの起源である学術用ネットワーク「JUNET」を村井純氏とともに立ち上げるなど、砂原先生は日本のインターネットの誕生に直接携わった1人ですが、そのインターネットは現在では社会を支える重要な基盤となりました。今日のインターネットの状況について、どう御覧になっていますか。

砂原 インターネットは地球全体を包む網となりましたが、今やこの網を意識する人は、実はいなくなってきていると思っています。

例えば学生たちと話をすると面白いんです。「インターネットを使ったことがある人」と質問すると、きょとんとした顔で、「そんな難しいものは使えません」と答えます。

――そうなのですか。

砂原 ええ。それで「ちょっと待て。スマホやLINEは使うよな」と聞くと、「はい、使います。でも、インターネットは使いません」と言うので、「LINEはインターネットで動いているんだよ」と教えると、「えっ?」と驚かれるわけです。

インターネットはこれぐらい“空気”みたいな存在になってきています。30年前には存在していなかったインターネットは、20代の若者にとってはあるのが当たり前。「先生、インターネットがなかった時代があったんですよね。一体どうやって待ち合わせをしていたんですか」とも時々聞かれます。

砂原秀樹教授


――確かに、インターネットがなかった時代を知っている我々ですら、今やインターネットのない生活は想像できなくなりつつありますね。

砂原 インターネットの存在を特に意識することすらない「インターネット前提社会」になったわけですが、このインターネットには“上”と“下”があります。上というのは、インターネット上の様々なサービスのこと。下は、「どうつなぐか」の話です。

下側については、5Gが始まり、さらに高速化したり、たくさんのノードを収容できたり、遅延が少なくなっていきます。有線の方も100Gbpsが当たり前になってきて、そろそろ400Gbps、1Tbpsという話も始まっています。

では、こうしたインフラの上で何が実現できるのか。例えば、国立競技場に8Kカメラを200台くらい並べ、その映像を合成して、ある人は全体を俯瞰した映像を観るかもしれないし、ある人はサニブラウン選手の足だけをずっと追いかけるかもしれない。今までは皆、マスメディアが作った映像を観るしかありませんでしたが、「私はこれが観たい」ということも実現できるようになっていきます。従来とは、情報の使い方が変わってくるでしょう。

もう1つ重要な点は、デジタルであることによって、すべて残り続けるということです。

先日焼け落ちたノートルダム大聖堂の尖塔にしても、たくさんの写真がデジタルデータとして残っています。ですから、同じように復元しようと思えば、復元できるわけです。

人間の創造性が何を生み出すかを予測することは難しいですが、ものすごく面白いことが今から起きてくるだろうと思っています。
続きのページは「business network.jp」の会員の方のみに閲覧していただけます。ぜひ無料登録してご覧ください。また、すでに会員登録されている方はログインしてください。

著者プロフィール

砂原秀樹(すなはら・ひでき)氏

慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 教授、慶應義塾大学先導研究センター サイバーセキュリティ研究センター 所長、工学博士。1960年兵庫県生まれ。1983年慶應義塾大学工学部卒業。1988年同理工学研究科後期博士課程所定単位取得退学。2001年奈良先端科学技術大学院大学情報科学センター教授。2005年情報科学研究科教授。2008年より現職
  • Teitter
  • facebook
  • 印刷

スペシャルトピックスPR

>> 今月の月刊テレコミュニケーション

月刊テレコミュニケーション【特集】WIRELESS SMART CITY

<Part1> ネットワークとともに進化する都市
<Part2> スマートシティネットワークの作り方
<Part3> 柏の葉に“Meta発”ミリ波無線の実験場
<Part4> スーパーシティ大阪 L5G広域利用の先行事例に
<Part5> ドローン「レベル4解禁」で変わる都市の物流
<Part6> ワイヤレス給電は都市をどう変えるか?

>>詳しい目次を見る

スペシャルトピックス

レッドハットインフラの自動化で34%の工数削減 レッドハットのネットワーク自動化2.0
人と人のコミュニケーションも効率化し、圧倒的な自動化を実現する。
i-PROセキュリティカメラの映像を遠隔監視 AI機能でマーケティングなどにも活用
幅広い用途に簡単、スピーディー、リーズナブルに対応するi-PRO Remo.
ジュニパーネットワークスWi-Fi 6E×AIで超効率ネットワーク 無線からWANまでクラウドシフト
ジュニパーはWi-Fi 6E時代に向けて、NW運用をAIとクラウドで効率化!
UniFiWi-Fi 6のライセンス費用がゼロに UniFiならコスパ抜群・簡単管理
圧倒的なコスパと手軽さで、オフィス、学校、工場、病院らが採用
日本マイクロソフト走り出した「5G網をAzureへ」計画
クラウド移行でキャリアは何を得るか

AT&Tの5GコアのAzure移行の狙いと進捗状況をマイクロソフトに聞いた。
ローデ・シュワルツ強みのミリ波技術で6G開発に貢献 1THz対応受信器もラインナップに
ローデ・シュワルツが得意のミリ波技術で6Gへの取組を強めている。

モバイル空間統計が直面した困難「ビッグデータのプライバシーを守れ」<連載>NTTグループのプロフェッショナルたち
モバイル空間統計が直面した困難「ビッグデータのプライバシーを守れ」
NTT Comサイバー攻撃事件の舞台裏「侵入者は対策メンバーのアカウントにもなりすましていた」<サイバーセキュリティ戦記>
NTT Comサイバー攻撃事件の舞台裏

「侵入者は対策メンバーのアカウントにもなりすましていた」
セイコーソリューションズISDNからインターネットへ スムーズな移行を可能にするには

ハードウェアを設置するだけ!ISDNからIP網への移行をフルサポート。

AirREAL-VOICE2簡単操作でマイグレーション実現
データ通信だけでなく通話・FAXも

アダプターの入替だけで移行が完了するMIの音声対応LTEルーター

NTTデータINSネットの後継ならお任せ!
移行で伝送時間短縮や負荷軽減

INSネットからの失敗しない移行方法をEB/FBの種類別に紹介しよう。

Wi-SUN AllianceWi-SUN認証デバイスが1億台突破
日本発の世界標準規格の普及加速

2.4Mbpsへの高速化など新たな進化も始まっている。

エヌビディアNTTとLINEが牽引する日本の自然言語処理、この2社がリーダーである理由

3月21日から開催の「NVIDIA GTC 2022 Spring」で知ろう!

ホワイトペーパー

アクセスランキング

tc202012

「通信」の力でビジネスを進化させるbusinessnetwork.jp

Copyright(c) 2020 RIC TELECOM Co.,Ltd. All Rights Reserved. 記事の無断転載を禁じます
当ウェブサイトはCookieを使用しています。閲覧を続ける場合、プライバシーポリシーに同意したことになります。