MaaSで働き方改革――「動くオフィス」で通勤時間がなくなる?

今話題の「MaaS」を働き方改革に結び付ける動きが起きている。移動空間が「仕事空間」に変わることで、いずれは「通勤時間」という概念もなくなるかもしれない。

様々な移動手段の「所有」と「利用」を分離し、1つのシームレスなサービスとして提供するMaaS(Mobility as a Service)。このMaaSに今、注目が集まっているのは、自動車メーカーのビジネスモデルに大きな影響を与えるからだけではない。我々の社会全体に多大なインパクトを及ぼすと考えられているからだ。

例えば観光。従来は、鉄道やバス、レンタサイクルなど、移動手段ごとに別々に予約・決済などが必要だった。しかしMaaSにより、アプリから1つのサービスとして予約・決済が行えるようになりつつある。

また、過疎化する地方の生活も大きく変わる可能性がある。オンデマンドバスが交通弱者や買い物難民などの課題の解決策になると期待されている。

そして実はMaaSは、私たちの働き方も変革していく。

移動時間という非効率毎日、多くの時間が移動に費やされている。NHK放送文化研究所が2015年に実施した調査によると、自営業者などを除く勤め人の通勤時間は往復で平均1時間19分だった。これに商談先などへの移動時間も加わるのだから、仕事のための時間のかなりの部分が移動に費やされていることになる。

「移動時間を最小限にし、1日の生産性を向上させられないか」――。そこで日本マイクロソフトは、移動時間を最適化するためのモバイルアプリを開発し、社内で実証実験を行っている。

このアプリでは、スケジューラーと連動し、その日の予定に合わせた最適な移動経路を提示できるほか、近くのコワーキングスペースを検索・提案する機能も搭載。さらに、交通費精算も自動でしてくれるなど、移動に伴う生産時間の減少を最小化するための機能が備わっている。

「移動時間を最適化すると、もっと自分の時間を取れるようになり、仕事の生産性も上がる。働き方に資するMaaSがある」

日本マイクロソフト エンタープライズ事業本部 運輸サービス営業統括本部 インダストリーマネージャーの清水宏之氏は、2018年11月に開催された「Microsoft Tech Summit 2018」での講演でこう述べた。

月刊テレコミュニケーション2019年3月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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