「ABW」という新しい働き方 84%が生産性向上を実感!

仕事を「10の活動」に再定義し、仕事内容に応じて、働く場所を変える「Activity Based Working(ABW)」。従業員エンゲージメントを高め、生産性を向上する施策として、日本でも広がり始めた。

働き方改革に取り組む日本企業の間で今、「Activity Based Working(ABW)」を導入する企業が増えてきている。

ABWとは、仕事内容に応じて、働く場所を選ぶワークスタイルのこと。ABWを採り入れたオフィスに固定席はなく、その時々の仕事によって好きな席へ移動する。

こう説明すると、「なんだ、フリーアドレスか」と思う人もいるだろうが、事業用不動産サービスの世界最大手であるCBREの金子千夏氏は両者の違いをこう説明する。

「フリーアドレスは、オフィス面積の効率化によるコスト削減を主目的にしたオペレーション側の視点。一方、ABWは、働いている従業員個人個人のための環境づくりを重視している」

CBRE アドバイザリー&トランザクションサービス ワークプレイスストラテジー・ノースアジア シニアディレクター 金子千夏氏
CBRE アドバイザリー&トランザクションサービス
ワークプレイスストラテジー・ノースアジア シニアディレクター 金子千夏氏

その違いが分かりやすく表れているのが、席の種類の豊富さである。

ABWの創始者であるVeldhoen+Company社は、仕事を「10の活動」に分類しており、ABWではこの10の活動に応じたオフィススペースを用意する(図表1)。

図表1 ABWが定義する10種類の仕事[画像をクリックで拡大]
図表1 ABWが定義する10種類の仕事

例えば、1人で企画書作りに取り組むときは個人作業用の「高集中」スペース、同僚と次の企画について議論するときは「アイデア出し」用の会議室といった具合だ。

2018年秋に本社移転したイトーキは、ABWに基づいて新オフィスを設計。特別な設備を必要とする「専門作業」用を除く、9つの活動用のスペースを本社オフィス内に用意した。

本社移転プロジェクトリーダーを務めた藤田浩彰氏によると、個人作業用の「高集中」スペースが特に人気で、他にも「2人作業」用のスペースもよく使われるという。1つのモニターを2人で共有しながら仕事を進められる。例えば、営業が顧客の要望をデザイナーに伝えながら、設計図を修正するなどの仕事で活躍しているそうだ。

イトーキの2人用作業スペースDuo
イトーキの2人用作業スペースDuo

また、「アイデア出し」用の会議室には、椅子ではなくソファを置くとともに、暖色のデザインを採用した。リラックスした雰囲気のほうが、アイデアが出やすいからだ。リフレッシュや心身の切替を行う「リチャージ」用には瞑想スペースを設けている。

イトーキのアイデア出し用の会議室 リラックスしやすいように暖色で設計されている
イトーキのアイデア出し用の会議室。リラックスしやすいように暖色で設計されている

月刊テレコミュニケーション2019年3月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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