「都市部のみならず、地方も含めた我が国の成長エンジンに5Gはなる」――。こんな坂井学総務副大臣の挨拶で始まった「第5世代移動通信システムに関する公開ヒアリング」。
総務省は5G向けの周波数を2019年3月末までに割り当てる計画だが、これに先立ち、5G用の周波数割当を希望する事業者から要望などを聞くのが目的で、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルネットワークの4社の社長が出席した。
各社のトップは、自社の5Gへの取り組みやサービス展開、周波数割当に関する要望を説明するとともに有識者からの質問に答えたが、そのなかで既存MNO3社は2019年中に5Gの「プレサービス」を開始すると明らかにした。
「人口が減少していくなか、どう成長モデルを描いていくのか。一刻も早く、5Gでこの国の景色を変えたい。景色が変われば、意識が変わる。できれば2019年に景色を変える」。総務大臣政務官の小林史明氏は冒頭こう挨拶したが、その言葉通り、日本では2019年に5Gがスタートを切る。
10月3日、総務省で開催された5Gに関する公開ヒアリング
「都市部から地方まで、5Gの需要のあるところから」NTTドコモはラグビーワールドカップが開幕する2019年9月に「プレサービス」を始め、2020年春から「商用サービス」をスタートする予定だ。
そのプレサービスのイメージだが、「料金はいただかない。端末は私どもから貸出する」と吉澤和弘代表取締役社長は説明した。
NTTドコモの5G導入スケジュール
また、5Gのエリア展開については、「都市部から順番にやるということではない。都市部から地方まで、需要のあるところからやる」と話した。
ドコモはコマツと5Gを活用した建設機械の遠隔操作の実証実験を行っているが、こうした建設現場は都市部から地方まで様々な場所にある。また、公開ヒアリングでは、遠隔妊婦検診による医療格差解消の実証実験も紹介されたが、これも地方を想定したユースケースだ。
4Gまでは、都市部からエリア展開されるのが通常だった。しかし、5Gにおいては、都市部か地方かという区分けではなく、「5Gが必要とされる場所」からエリア展開していくという。
NTTドコモの5Gのエリア展開の考え方。他のキャリアも基本的に同様の考え方だ
KDDI 代表取締役社長の高橋誠氏は「2019年、一部エリアから5Gを開始する」と話した。本格展開を始めるのは2020年。そして、「2021年には5Gコアを導入し、ネットワークスライシングやMEC(Multi-access Edge Computing)を活用した様々なサービスを提供していく」という。
また、高橋氏は5Gの意義の1つとして「地域課題解決と地方創生」を挙げ、そのエリア展開について「首都圏だけではなく、多くの地域に整備する」とした。
KDDIの5G導入スケジュール
ソフトバンクは2019年夏以降、5Gのプレサービスを開始する。福岡ヤフオクドームの臨場感を、360°VRで体験できるサービスなどをまず開始するという。
エリア展開については、地方・都市部を問わず、ニーズに応じて展開していく考えで、「2022年には全国展開できると思う」とソフトバンク 代表取締役社長執行役員兼CEOの宮内謙氏は述べた。
ソフトバンクの5G導入スケジュール