ドコモらがIoTスマートホーム実証実験で得た「仮説」の中身

IoTやAIを活用したスマートホームに注目が集まっている。日々の活動から居住者の「くせ」を把握し、高齢者の健康管理や見守りなど社会課題の解決に活用できる可能性もある。

二俣川駅(横浜市旭区)近くの駐車場に設置された1台のトレーラーハウス。中に入ると、20㎡ほどの室内にはセンサーを搭載した家具が置かれている。スマートフォンアプリを通じてドアの鍵やカーテンの開閉、照明などをコントロールしたり、温度・湿度・照度といった居室内の環境データ、血圧や体重、睡眠、食事などの健康データ、歩数や消費カロリーといった活動データを収集・可視化してスマホの画面上で確認することができる。

IoTスマートホームは、横浜市旭区の二俣川駅近くの駐車場にある
IoTスマートホームは、横浜市旭区の二俣川駅近くの駐車場にある

このIoTスマートホームは、業種や企業規模の枠を超えてIoTビジネスの実現を目指すIoTオープンイノベーション・パートナーズ「I・TOP 横浜」内の「未来の家プロジェクト」で活用されているもの。横浜市とNTTドコモ、and factory、相鉄グループ、富士通コネクテッドテクノロジーズなど10者(6月11日時点)が参加している。

参加企業のうちドコモは、インターフェースの異なるIoTデバイスをクラウドなどと連携しやすくする「IoTアクセス制御エンジン」やIoTスマートホームの試験環境の提供、IoT機器開発・活用方法に関する技術セミナーの開催といった役割を担う。

「少子高齢化が急速に進む日本では、高齢単身世帯や要介護者の増加が深刻な課題だ。IoTスマートホームを健康改善や見守りに活用することで、こうした社会課題の解決に役立てたい」。NTTドコモ サービスイノベーション部 第2サービス開発担当担当課長の堀口賞一氏は実証実験の狙いをこう説明する。

NTTドコモ サービスイノベーション部 第2サービス開発担当 担当課長の堀口賞一氏(左)とサービスイノベーション部 第2サービス開発担当の山下顕氏
NTTドコモ サービスイノベーション部 第2サービス開発担当
担当課長の堀口賞一氏(左)とサービスイノベーション部 第2サービス開発担当の山下顕氏

1回目の実証実験は、昨年12月25日から今年2月28日にかけて行われた。ドコモや業務委託先関係者など計6人が1週間ずつ交代で、実際にトレーラーハウスで生活。最終日に6人の被験者に対してアンケートを実施した。

それによると、IoTスマートホームでの生活について、全員が「快適」と評価。また、「できるだけ運動をするようになった」「食事に気を使うようになった」など、健康に対する意識が向上したとの回答も100%に上った。

一方、IoTセンサー機器や家電については「スマホでの機器操作が難しい」(50%)、「スマホの画面表示が見づらい」(50%)、「機器の動作に不満」(33%)など、UI/UXに課題があることが明らかになった。

アプリには、体重や血圧、1日の歩数や摂取カロリーなどが表示される
アプリには、体重や血圧、1日の歩数や摂取カロリーなどが表示される

トレーラーハウス内には約15個ほどのセンサーが設置されている。「1台のスマホで操作するにはセンサーの数が多すぎるうえ、スマートフォンOSの特性上、自動的に省エネモードに切り替わってしまい使い勝手に影響を及ぼすなど、家の中での利用に適さない面があった」(堀口氏)。このため、今後はホームゲートウェイなどの専用端末を実証実験に用いる予定だ。

家電製品やベッド、ソファにはセンサーが設置されており、環境データや健康データ、活動データを収集・可視化する
家電製品やベッド、ソファにはセンサーが設置されており、
環境データや健康データ、活動データを収集・可視化する

月刊テレコミュニケーション2018年7月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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