企業ネットワーク最前線

作業時間を20%削減し現場の安全活動に時間を配分

東京電力、火力発電所の設備点検にタブレット導入

文◎business network.jp編集部 2016.04.27

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東京電力は、千葉県にある袖ケ浦火力発電所をはじめ5か所の火力発電所で、設備の維持管理業務を効率化するため、タブレット端末を導入しクラウドサービスと組み合わせたシステムの利用を始めた。電力自由化が始まるなかで、発電部門のカンパニーである「東京電力フュエル&パワー」でも、コスト削減と業務効率化が問われており、そうした取り組みの第一弾として注目される。

紙での確認作業をタブレットでデジタル化袖ケ浦火力発電所は、世界最大級のLNG(液化天然ガス)基地となっている大型火力発電所で、ここに陸揚げされたLNGは地下式・地上式の大型タンクに貯蔵され、千葉県の姉ヶ崎、五井、千葉の各火力発電所のみならず、東京湾をまたがり、川崎や東扇島火力発電所などにも送り出されるガス導管の起点ともなっている。

LNG基地を共同運用する東京ガスも含めて、35基ものガスタンクが林立している。

広大な敷地に分散する燃料タンクと、その周辺に張り廻られた各種のパイプラインなどの多数の設備・機器類を管理する作業は、エリアごとに担当が決められ、1人あたり1日2時間近く掛けて行われていた。

これまでは、担当作業員は、配管・計器など百か所以上の点検項目について、敷地を手分けして回り、1ヶ所ずつ数値や状況を紙の記録用紙に手書きで記入し、それを事務所に戻り報告書にまとめる業務を行っていた。

それを、専用のタブレット端末に業務ソフトを入れ、現場で計器を見ながら数値を入力する電子データ方式に変更した。報告書も、紙の授受を廃止し電子データで処理し、そのままモバイル回線でクラウドに上げ、即座に所内全体で共有できようにすることで、事務処理を大幅に効率化した。

 

広大な敷地で設備点検を行う作業員
広大な敷地で設備点検を行う作業員

 

従来、現場を回ったあと、事務室に戻って報告書をまとめ終えるまで1人約2時間を要していたが、タブレット+クラウドによる業務ICT化によって、約90分に短縮し、1人1日あたり30分の効率化を実現した。

生み出された月間180分の時間は、単にメーターを読むだけの作業に終わるのではなく、設備のより丁寧な点検や人でしか分からない状態把握、予兆管理などに当てることができるようになり、安全性の強化でのメリットも生まれているという。

電力自由化に向け業務改革を進める広大な敷地を歩きながら、タンク内の燃料の高さのデータをはじめ、張り巡らされた各種導管に設置された水位、圧力などおびただしい計器の数値を読み取り、正常かどうか判断し、記録していく作業は神経を使う作業であり、読み間違え、記録間違いも発生しやすい。

従来は、事務所に戻ってデータを報告書にまとめている時に、異常値に気付いたり、データの記録漏れに気づいたりすることも少なくなかった。その度に、現場に戻ることになる。

ところが、タブレットの導入により、現場で数値を記入する段階で、異常値だったらすぐ赤字表示され、また前日データと当日データが並べて表示されているので、ただちに比較ができるようになっている。また、現場で写真を撮影し、クラウドに上げすぐ見ることができるので問題箇所の発見、対策にもスピーディーに対応できる。

 

前日と比較できる入力画面
前日と比較できる入力画面

 

タブレット端末は、「ガス危険エリア」ということで、パナソニックの防爆型のWindows端末が選ばれた。使い慣れているエクセルがそのまま利用でき、ガスが端末内部に浸透してスイッチ操作で引火することがないという厳しい基準で選定された。

従来は、紙に記入したデータを再度、エクセルに打ち直したものをプリントした紙の報告書だったが、新しい報告書はKDDIのLTE回線でクラウドに挙げた電子データがそのまま報告書になっているもので、所内のどこからでも、アクセス権を持った人はいつでもそのデータを見ることが可能だ。

現在、袖ケ浦など5か所の火力発電所で、95台が導入されている。試験運用も含めて利用しており、結果を見て、他の火力発電所にも広げる予定。 

袖ヶ浦火力発電所 小川泰規所長
現場からのICT導入提案を認め推進した袖ヶ浦火力発電所 小川泰規所長



今回のプロジェクトは、東京電力の情報システム部が主導したものではない。東京電力フュエル&パワーの火力部の運用グループが、電力自由化によって価格競争が激しくなり、業務の効率化・業務改革が必要との危機感から始めたものだ。

特定のSIerに丸投げするようなことはせず、IT活用の事例を研究しながら、できるだけ汎用品で安く、簡便にシステムが構築できるように努めたという。現場での使い勝手を重視し、利用しやすいシステムにするよう自前でソフト開発も行ったという。

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