企業ネットワーク最前線

【Spring Japan】iPadでマニュアル電子化!LCCの低価格&安全運航の一翼を担うタブレット

文◎重森大(ITライター) 2014.08.20

  • bookmark
  • Teitter
  • 印刷

低コストな航空輸送を実現するLCC(格安航空会社)。成田空港を基点に国内各地に就航するSpring Japan(春秋航空日本(株)以下、Spring Japan)も、そうしたLCCの1社だ。低価格とはいえ、安全性や情報伝達の精度に妥協は許されない。コストを抑えつつ、より安全な運航を実現するために採用したのがiPadだった。

 

航空会社に勤務する運航乗務員(パイロット)は、多くのマニュアル類を持ち歩いている。乗務する機種の操縦や安全に関するマニュアルに加えて、航空法や利用する空港ごとの「チャート」も、必要に応じて確認しなければならないからだ。運航乗務員が大きなバッグを持ち歩いているのは、ほとんどがこのマニュアル類を携行するためであり、その重量は軽く10キロを超えるという。

こうしたマニュアル類は、その量や重さだけではなく、頻繁に更新されるのも特徴である。

「航空法の改定時はもちろんですが、空港設備、飛行経路に関する変更等、最低でも1カ月に1回以上は更新されます」とSpring Japan 運航部 運航乗員課長 機長の竹内正樹氏は説明する。

竹内氏によれば、マニュアル類は法律で認可された企業が各航空会社向けに作成しているそうだが、その更新作業については「ほとんどの航空会社で、運航乗務員自身が行なっているのが現状」だという。

マニュアル類を紙で管理する多くの航空会社では、内容が変更されるたびに改定部分を地上スタッフが運航乗務員に配布し、各運航乗務員が自分で差し替える。印刷代や差し替えにかかる時間などを考えると、Spring Japanのような運航乗務員数十名の規模で、更新コストは毎月数十万円になるという。

しかも、課題はコストだけではない。

「マニュアル類の差し替え作業は、運航乗務員個人の責任の元に行われるのが一般的です。必要な書類が揃っていなければ法令違反となるため、ミスがないよう細心の注意を払って作業しなければなりません。運航乗務員は本来、運航業務にのみ集中したいところですが、多くの航空会社の運航乗務員がいまだこうした事務作業の負担から、なかなか解放されずにいます」(竹内氏)

 

春秋航空日本 運航部 運航乗員課 課長 竹内 正樹氏
Spring Japan 運航部 運航乗員課長 機長 竹内正樹氏



そこで導入したのが、iPadだった。いわゆるLCC(格安航空会社)であるSpring Japanは、顧客の利便性や安全性に関わらない部分において、最大限の努力を持ってコストダウンに取り組んでいる。その一環として、日本法人設立当初から現場の運航乗務員にiPadを配布。iPadでマニュアル類の閲覧・管理を行うことで、これらの課題を解決したのである。

 

多様なサービスを1つの窓口で対応可能なKDDIからiPadを導入

タブレット端末はいくつもあるが、その中からiPadを選んだ理由はいくつかあった。

その1つは、法規制に関するものだ。航行中に操縦室において電子的に表示する機器を使用するためにはElectronic Flight Bag(EFB)※1の実施承認を受けなければならない。先行する米国では、当局よりEFBの実施承認を受けている航空会社が存在する。iPadはその中でも、早期に承認された機器の1つだった。

※1:Electronic Flight Bag(EFB)とは、従来は紙媒体による資料(例えば、飛行規程や航空図)や航空運送事業者の運航管理業務により航空機乗組員に提供されてきたデータ(例えば、飛行性能計算)を操縦室において電子的に表示する機器であり、使用には国土交通大臣の承認が必要で、日本においてもそのEFB導入の機運は高まりつつある。

「日本でも同様の措置が取られる可能性は高く、その際に許可される端末としてiPadが選ばれる確率は他国の実績から見ても高いと考えました。法律に従って業務に当たらなければならない私たちにとっては、これは大きなポイントでした」とSpring Japan 運航部 運航サポート課の松井裕二郎氏は語る。

 

春秋航空日本 運航部 運航サポート課 松井裕二郎氏
Spring Japan 運航部 運航サポート課 松井裕二郎氏



操作性の面でのアドバンテージも、見逃せない。運航乗務員の中にはiPhoneユーザーも多く、その延長線上で扱えるiPadは他のタブレットに比べて親しみやすい。短時間で必要な情報を引き出せる操作性の良さは欠かせないものだった。

また、iPadを提供するベンダーはいくつかあるが、Spring Japanが選んだのはKDDIである。ソリューション提案力に魅力を感じたのが理由だという。

「iPadとともにドキュメント管理ソリューションの導入を提案されました。ハードウェアの提供だけではなく、私たちがやりたいことを実現する手法をトータルに考えてくれたことが嬉しかったですね」(松井氏)

KDDIが薦めたのは、富士ソフトのドキュメント管理ソリューション「moreNOTE」だ。管理者がサーバーにドキュメントを登録し、それをiPadユーザーが閲覧する仕組みで、事前に同期しておけばオフラインでもドキュメントを閲覧することもできる。

「KDDIにはネットワークやコールセンター業務でもお世話になっているので、信頼関係もありました。1人の営業担当者がすべてのサービスの窓口になってくれているので、やりとりがしやすくて助かります」(松井氏)

 

スペシャルトピックスPR

moconavi1807
sun1807
intel1806

>> 今月の月刊テレコミュニケーション

月刊テレコミュニケーション【特集】映像IoTが、来た!
●多様な業界に広がる映像IoT/●カメラとAIでスマート農業/●防犯カメラも新たな次元へ/●AI予測で混まないレジ/●映像IoTを支えるネットワーク構築のポイント

◆[インタビュー] NTT東日本 井上福造社長 ◆クラウド時代の企業音声システム ◆日本企業目線で“ヤマハ流”SD-WAN ◆富士通が産業向け新無線LAN ◆農業×IoTで「地方」を変える ◆MWC上海レポート

>>詳しい目次を見る

ホワイトペーパー

スペシャルトピックス

潜伏する脅威をAIが検知!
産業用制御システムやIoTも守備範囲

日商エレクトロニクスのセキュリティ対策が“新ステージ”に突入する!

リボン・コミュニケーションズTeamsの電話機能にいち早く対応
UCを狙ったサイバー攻撃対策も

Microsoft TeamsとPSTNをつなぐリボン・コミュニケーションズ

UNIVERGE Aspire WX電話やUC機能を全方位にカバー
中小企業の多様な働き方を強力支援

NECが5年ぶりの中小向けキーテレフォン「UNIVERGE Aspire WX」

F5ネットワークスセキュリティやGi-LAN仮想化など
モバイルインフラの強化に貢献

5G移行を控えた今、F5ネットワークスはどんな価値を提供できるのか?

moconavi今いる場所がオフィスになる!
moconaviで安全なモバイルワーク

場所を問わない新しい働き方の実現には、ICT環境の整備も不可欠だ。

サンテレホンサンテレホンがICT総合展示会
ビジネス伸ばす製品群が一堂に

東京ドームシティ・プリズムホールで7月18・19日開催!

インテル5Gをエンドツーエンドでカバー
新たな価値創出を目指すインテル

インテルは強みの仮想化技術で5G時代のネットワーク構築に貢献する。

コマーチキャリア向けOSS/BSSに強み
自動化やe-ヘルスで社会課題解決

自動化やe-ヘルスで多くの実績を持つコマーチが日本市場に参入した。

ブロードメディア・テクノロジーズ小森コーポレーションが
Aryakaで日中間通信を安定化!

日系企業の中国ビジネスに立ちはだかるのが通信環境の問題だ。

IIJグローバルソリューションズ日中間ネットワークの安定運用へ
VPN規制を乗り切る解決策提供

安定的な越境通信を実現するには何が必要か?

NTTコミュニケーションズIoTビジネスの種まきから結実まで
NTT Comの「次の一手」とは

自社発行型eSIMでの新サービス提供に期待!

SAS Institute Japanデータ分析の老舗、SASが提案するIoT時代のデータ活用

IoTのはじめの一歩を踏み出す前に考えるべきポイントは?

アクセスランキング

tc1807_a
iot
compass

「通信」の力でビジネスを進化させるbusinessnetwork.jp

Copyright(c) 2018 RIC TELECOM Co.,Ltd. All Rights Reserved. 記事の無断転載を禁じます