A10ネットワークスが“首位固め”に向け、SCSKとエンタープライズ市場へ攻勢

A10ネットワークスが国内ADC市場で念願のシェアトップを獲得したという。今後はSCSKを新たにパートナーとして迎えるなどし、サービスプロバイダー市場にとどまらずエンタープライズ市場も開拓。「安定したNo.1の地位を築いていく」という。

2009年3月の日本法人設立以来、国内での市場シェアを急速に伸ばしてきたADC(Application Delivery Controller)ベンダーのA10ネットワークスが、国内No.1のマーケットシェアを獲得したという。代表取締役社長 兼 CEOの小枝逸人氏が4月11日に開いた記者説明会で明かした。IDC Japanによる調査において、2012年第4四半期のレイヤ4-7スイッチ市場の国内シェアが28%となりトップだったという。かねてから「シェアトップのF5ネットワークスを必ず追い抜く」と公言していたA10ネットワークスだが、ついに目標を達成したことになる。

IDC Japanによる国内レイヤ4-7スイッチ市場シェア
IDC Japanによる国内レイヤ4-7スイッチ市場シェア

弱点は「認知度」

このように好調が続くA10ネットワークスであるが、小枝氏が自ら弱点と認めるのは「エンタープライズ市場での認知度が弱い」ことだ。この認知度の低さもあって、同社の売上のほとんどは通信事業者やISP、データセンター事業者といったサービスプロバイダー市場でのもの。エンタープライズ市場については「まだ入り込めていない」という。

認知度の低さは、グローバルでも共通の課題のようだ。小枝氏は調査会社のレポートを紹介(以下のスライド)。そのうえで、「製品については満点の1位の評価をもらっているが、会社の認知度や体制についてはまだ満点ではない。そこで、自分たちの弱点をまずちゃんと認めようと。2013年は徹底的に認知度を高めていきたい」と語った。

Info-TechリサーチグループによるADCベンダーの評価
Info-TechリサーチグループによるADCベンダーの評価

認知度を高め、エンタープライズ市場の開拓を進めていくための具体策として発表されたのは、SCSKとのパートナー契約である。

SCSKの会社概要
SCSKの会社概要

A10ネットワークスには現在、OEMパートナーを含む5社の1次代理店がいるが、今回新たに結ばれたパートナーシップがユニークなのは、SCSKが「国内で唯一、間接販売を主体にしたビジネス」(SCSK 理事 プラットフォームソリューション事業部門 ITプロダクト&サービス事業本部長の新庄崇氏)を展開していくことだ。

これまでのパートナーは皆、直接販売がメインだったが、SCSKは2次代理店による間接販売を中心にエンタープライズ市場にアプローチしていくという。2次代理店を支援するためのプリセールスや保守サービスなど、各種支援体制もSCSKとして整備していくとのこと。

パートナープログラムは「お客様目線」に変更

また、A10ネットワークスは、新たな認定パートナープログラムもスタートさせる。従来のパートナープログラムは、直接契約の1次代理店がGold Certified、間接契約の2次代理店がCertifiedと「A10との関係で決まっていたが、これはお客様には関係ない。新しいパートナープログラムでは、お客様目線の分かり易い認定基準に変更した」(チャネルプロモーション&マーケティング本部 本部長の三瓶寛一氏)という。

具体的には、提案力や技術サポート力を評価基準に「プラチナ」「ゴールド」「シルバー」「オーソライズド」の4種類の認定を用意。プラチナを除いて、A10ネットワークスとの直接契約かどうかに依らず、認定パートナー申請ができるようになった。このためユーザー企業から見て、どの認定パートナーに頼めばいいか、分かり易くなるという。

ちなみに、プラチナパートナーの第1号はSCSK。従来のパートナープログラムも当面は残るため、現時点でのプラチナパートナーはSCSKのみとなる。

SCSK ITプロダクト&サービス事業本部 NSプロダクト部 部長補佐の福田修司氏によれば、「日本のADC市場の規模はおよそ250億円。そのざっくり6割くらいがエンタープライズ」だという。「エンタープライズ市場をカバーすれば、A10は安定したNo.1の地位を築いていけるだろう」と小枝氏は話したが、果たしてどうなるか。SCSKは初年度3億円の販売を目指す計画だ。

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