夏野氏が講演「スマホを使えない会社は、もう生き残れない!」

「日本の大企業の多くは、セキュリティを守り過ぎて“知識革命”に乗り遅れている。スマホは、イノベーションをどんどん起こすための攻めのツールだ」――。2011年12月1日に開催された「東京スマホセキュリティサミット2011」で、慶応義塾大学の夏野剛氏は「スマホを使えない会社は、もう生き残れない!」と題した特別講演を行った。

2011年12月1日に開催された「東京スマホセキュリティサミット2011」(主催:東京IT新聞)で、慶応義塾大学の夏野剛氏が「スマホを使えない会社は、もう生き残れない!」と題して特別講演を行った。

「象徴的にスマホと言っているが、スマホにサービスを提供するクラウド、そしてTwitterなどのソーシャルといった今世の中で大きく受け入れられ、なおかつ、社会の在り方そのものも根本から変えているツールを使いこなせない会社、あるいは使えない会社は、10年後には生き残れないという意味で、スマホという言葉を使っている」

冒頭、刺激的なこの講演タイトルについて、こう説明した夏野氏。では、なぜスマホやクラウド、ソーシャルを活用しなければ、企業は生き残れないのか――。同氏はまず、13年前に企業の情報システム部門を襲った“悪夢”の話から始めた。

スマホを禁止するほど、社員1人ひとりの能力は制限される

今では、消費者がインターネットを介して企業のコンピュータシステムにアクセスして何かを購入したり、オンラインバンキングなどを行うのは、ごく当たり前となっている。しかしインターネットの登場以前は、どうだっただろうか。

「例えば航空会社にとってチケットの予約システムは根幹だが、その最も大事なコンピュータシステムに赤の他人が勝手にアクセスしてくるというのは、情報システム部門にとって“悪夢”だったのではないか。ところが、インターネットが出てきたことで、“悪夢”が普通のことになった。発想の大転換が実はここで起こっているわけだ」

夏野氏によると、この大転換が日本で起こったのは98年。この年、インターネット上での航空券の予約やオンラインバンクが始まったという。「全日空の場合、今では国内線の個人顧客の70%がeチケットになっていると聞いた。つまり、わずか13年で販売チャネルが大きくネットにシフトした」

翻って現在に戻ると、情報システム部門が今抱える“悪夢”とは、スマホやクラウド、ソーシャルのセキュリティや運用管理の問題かもしれない。しかし、13年前に襲ったインターネットの波を“悪夢”として取り扱い、ネット対応を怠った企業が現在どうなっているかは言うまでもない。講演タイトルにある通り、それでは「生き残れない」というのが夏野氏の意見だ。

「2000年代前半に起こった情報革命と、2000年代後半に起こったソーシャルで、個人の情報収集能力と情報発信能力は何万倍にもなった。にもかかわらず、これらを禁止すれば、社員1人ひとりの能力を引き上げる方向ではなく、制限する方向に行くことになる。こうした文脈の中で、企業はスマホを語っていかなければならない」

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