2月15日から3月6日までJR東日本の東京駅八重洲グランルーフで、「Digtal×北斎」展が開催される。東京・新宿のNTTインターコミュニケーション・センター(ICC)で開催されている「Digtal×北斎【破章】北斎vs廣重」展のサテライトミュージアムにあたるもので、超高精細三次元デジタル画像により忠実に再現された浮世絵作品をNTT東日本の閉域デジタル回線によって伝送し、コロナ禍の新しい鑑賞体験を提供する。JR東日本の「HAND! in YAMANOTE LINE」の一環として、NTT東日本、NTT ArtTechnologyにより、「ICT×文化芸術伝承」による地域社会への貢献の取り組みとして行われる。
東京駅八重洲グランルーフ2階に、「Digtal×北斎」と大きく書かれた特設スタジオが設けられ、来場者は入りやすくなっている。展示されているのは、葛飾北斎の浮世絵作品『冨嶽三十六景』のうち最も保存品質がよいといわれパスポートなどにも使われている山梨県立博物館の版画を三次元質感画像処理技術DTIPにより再現された所蔵元認定のマスターレプリカ(複製画)と、そのデジタルデータを活用して制作され細部まで鑑賞できる体感型作品である。
ヘッドミュージアムであるICCの浮世絵作品は、従来、高解像度デジタル化において、素材や絵筆などの微細な凹凸などの質感を再現することは難しいとされてきたが、所蔵元の原画を高解像度デジタル化により和紙一本一本の質感から微細な摺りの凹凸まで再現することに成功したという。ICCの本展示と高速ネットワークで連携させることで、サテライトミュージアムとして、本美術展と同じ品質を実現し、セキュリティも確保した。
また、デジタル化により再現された版画自体の高精細度を、来場者が細部にわたって自由に確認できるコーナーもあり、そこではコロナ禍に対応して、ディスプレイに直接タッチせずに指の動作だけで、浮世絵の当該部分を拡大して見ることも可能になっている。
JR東日本は「山手線で、アートと音楽を楽しむ50日間」として、コロナ禍の「つながる山手線」キャンペーンを行っており、NTT東日本とNTT ArtTechnologyはICTやネットワークを活用した新しい文化芸術体験「分散型デジタルミュージアム」を展開しており、今後も新型コロナ禍で生まれたオンラインを中心とする新たな文化芸術鑑賞のスタイルを提案し、地域の日本文化芸術作品に触れることで、時と場所を超えて楽しめる世界を創出していくとしている。