「9月9日に台風15号が首都圏を直撃した時、皆さんの会社は出社をどのように判断しましたか?」
デジタルワークプレイスDay 2019での講演の冒頭、e-Janネットワークス 営業部 部長 三井智博氏はこう問いかけた。
e-Janネットワークス 営業部 部長 三井智博氏
ある大手企業では、前日に在宅勤務や時差出勤を推奨するメールを全社に一斉送信し、当日は多くの社員がリモートワークを実施。また、日常的にテレワークを活用しているため、平常通りに業務ができた企業もあったいう。
とはいえ9日の朝は、出勤のため駅に多くの人が押し寄せて大混雑した。「要するに一部の企業しかテレワークが実施できていないということ。そして労働生産性以前に、そもそもこの混雑を乗り越えて出社したところで何の意味があるのかということは、皆様もお感じの通りだと思う」と三井氏は指摘する。
「従業員の働く場所が固定されていることこそリスク」「実は9月9日のこともあり、BCP(Business Continuity Plan)への認識が変わってきている」と三井氏は続ける。
BCPのうち、ITシステムの観点からは「ディザスタリカバリ」への対応が必要となる
「東日本大震災から8年以上が経過し、多くの企業がBCPに取り組み、中には完了している企業もある。ところが最近、BCPの認識が変わってきた」(三井氏)。会社のファシリティ面のリスクについては、ディザスタリカバリやオフィスの免震化によって問題が無くなってきたが、そもそも非常時に出社する必要があること自体が問題であると認識され始めたというのだ。
「従業員の働く場所が固定されている、会社に来ないと仕事ができないということこそが企業リスクで、これを何とかしたいというお話を伺うことが増えた。テレワークの整備は、BCPの施策の1つだ」
しかし、これほどテレワークの必要性が高まっていながら、なぜ多くの企業がテレワークを実施できないでいるのだろうか。