<特集>映像IoT映像IoTを支えるネットワーク構築のポイント「エッジで映像は捨てる」

映像IoTにおける最大の障害がデータの大容量化だ。通信トラフィックの増大は回線帯域の逼迫、通信/ストレージ費用の高騰など様々な問題を招く。高精細映像を効率よく扱うためのポイントを整理しよう。

映像IoTの活用には高精細な動画像データの取得が欠かせない。

具体的にどの程度の品質が求められるのか。用途や利用シーンによっても異なるが、例えばPart1で紹介した人物の動作検知や人数カウント等を行うには、「画質(解像度)は少なくともHD以上、フレームレート(fps)は10」(OKIの宮氏)が必要だ。さらに、顔認証のように人の特徴を詳細に見極める用途では、フルHD映像が必要になるケースも十分にあり得る。

ネットワークカメラではフルHD対応の製品が一般的であり、最近では4Kをサポートするカメラも登場している。スマートフォンのカメラでもフルHD品質は今や当たり前であり、市販のWebカメラを使えば数千円程度で高画質撮影が可能だ。“素材”である高精細映像の取得には今や何の問題もない。

エッジ処理は不可欠一方で課題となるのが、映像データの扱い方だ。具体的には、映像を「処理する場所」と「送り方」が、映像IoTを実践するうえで留意すべきポイントになる。

映像IoTは基本的に、対象物を撮り続け、分析を行うアプリケーションへデータを送り続けるという使い方になる。高精細映像でこれをやり続けるには、どこで映像を処理するか、どのようにデータを送るかが肝だ。

結論から言えば、カメラにできるだけ近いエッジで映像処理を行う必要がある。

映像データをすべてクラウド/データセンターに送るようなシステム設計では、ネットワーク帯域が逼迫したり、通信費やストレージ費用が際限なく高騰するなどの問題を招く。安定的に使えて、かつコストパフォーマンスが高い映像IoTシステムを構築するためには、エッジコンピューティングの活用が欠かせない。

月刊テレコミュニケーション2018年8月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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