ネットワンシステムズは2018年6月8日、過去3年にわたる大手製造業との実証実験・本番稼働で得た知見を基に、工場の生産性向上を支援する製造業向けIoTソリューションを提供すると発表した。
本ソリューションは、工場の生産設備をセキュアにネットワークへ接続し、現場で生成されるIoTデータを収集・分析するための基盤整備を支援するもの。生産設備のネットワーク接続からデータの収集・管理・分析基盤の整備、セキュリティ対策まで、総合的な支援を行い、設備故障の予兆検知や製品トレーサビリティの強化、稼働率等の生産指標の作成/改善など、工場の生産性向上に向けたデジタル改革に寄与するという。
近年、「第4次産業革命(インダストリー4.0)」に向けて、工場のIoT化の需要が拡大しているが、スマートファクトリーの実現は容易ではない。
課題の1つは、既存の工場システムがそもそもネットワーク化を想定していない点だ。情報システム部が担ってきたIT(情報技術)と、生産技術部が担ってきたOT(制御技術)はそれぞれ専門性が高いが、その双方について深い知見が求められるという問題もある。
ネットワンシステムズは、大手製造業のプロジェクトに携わるなかで、こうした問題を解決するためのノウハウの体系化に成功。今回の製造業向けIoTソリューションの提供に至ったという。
例えば、セキュリティに関しては、次のような課題があると市場開発本部長の松本陽一氏は紹介した。「ラインを止める恐れがあるので、工場のサーバーは容易にバージョンアップできない。このため、いまだにWindows XPやWindows 95が使われている工場もある」
Windows 95のような脆弱性のあるOSをネットワークにつなぐと、そこがセキュリティホールとなってしまうが、安易に「例外」として接続対象から外しても、そもそもの目的であるスマートファクトリーが実現できない。
そこで、ネットワンシステムズが辿り着いた解決策が、「エンドポイント対策ができない設備については、防御に注力するのではなく、高度なふるまい検知技術を実装するなどにより、いかに早く検知するかに力を注ぐ」というもの。
このように1つ1つの課題について頭を捻りながら、ソリューションとして体系化したという。
また、松本氏が強調したもう1つの特徴が、マルチベンダー対応だ。「ソリューションというとメーカー発のものが多い。マルチベンダーのソリューションだからこそ、お客様の多岐にわたる要求に応えられる」。
今年度の売上目標は40億円。2年から3年かけて年間100億円を目指すという。
市場開発本部長の松本陽一氏