IoTベースのスマートハウスは、本格的に普及するのか前編では、第2世代までのスマートホームがなぜ普及しなかったのか、その理由を解説しました。第3世代・IoTベースのスマートホームが普及するかどうかは、まずその課題をどこまで解消できるかにかかっていると言えます。
1つめのポイントは、「お客様に付加価値を提供できるか」です。
これに関しては、「AIによる自動化」により、高い付加価値を提供できると考えられます。
従来は、家電や設備機器がネットワークにつながっていると言っても、基本はユーザーが意識的に操作するものでした。
しかし、IoTベースになったことで、センサーからクラウドに収集されたデータをAIが分析し、ユーザーを先回りして、フィードバックを返すことができます。
たとえば、「ユーザーの体温などをセンサーが測定して、自動的に空調などを最適制御する」などが該当します。
AIが様々なデータを学習し、ネットワークにつながる家電や設備も増えていくと、ユーザーには思いもつかなかったような「快適な提案」ができる可能性があります。
まさに「賢い住宅(スマートホーム)」と言えるのではないでしょうか?
続いて、2つめのポイントは「各メーカーの家電や設備機器をオープンにつなげることができるか」です。
これに関しては、この2~3年ほどで大きく状況が変わりました。
「IFTTT(イフト)」というWebサービスにより、欧米の主要なホームIoT機器は、規格が異なるものでも相互に接続させることができるようになったのです。
IFTTTの画面
IFTTTが誕生したのは2010年。IFTTTという一見変わったネーミングの語源は「IF This Than That」。日本語では「もしコレをしたら、アレをする」となります。
IFTTTは当初、FacebookやTwitterなどの異なるSNSサービスを連携させるWebサービスとして利用されていました。たとえば、「Facebookに投稿したら、その内容をTwitterにも投稿する」などの使われ方です。
しかし、2014年頃から、ホームIoT機器を遠隔操作するWebサービス(クラウド上の遠隔操作プログラム)を登録して活用する事例が増えてきました。たとえば、「人感センサーが人間を感知したら、照明をつける」などです。
具体的には、人感センサーを遠隔操作/監視するWebサービスをIFTTTに「トリガー」として設定します。そして、「アクション」には、照明機器を遠隔操作するWebサービスを設定することにより、「トリガー&アクション」として一連の連携操作が可能になります。
IFTTTのような連携サービスが登場する以前は、欧米でも様々な規格が乱立し、囲い込み合戦の様相を呈していました。もちろん、現在でも複数の規格が存在しますが、いずれのメーカーも、急速にユーザーの支持を集めるIFTTTに乗り遅れることを恐れ、IFTTT対応を進めてきました。
その結果、欧米の主要なホームIoT機器がIFTTTに対応することになったのです。
残念ながら、国内のホームIoT機器でIFTTTに対応しているものは、現状では多くありません。ただ、IFTTTの対抗サービスとして、ヤフーのmyThingsやマイクロソフトのFlowなども出てきています。
各サービスが競い合うことにより、我が国においても、1つのサービスで、主要なホームIoT機器を連携させることができる日も、そう遠くないと考えられます。