ソフトバンクは2017年12月14日、建設コンサルタント会社のパシフィックコンサルタンツと提携、5G/IoT通信、AI技術などを、最適な公共インフラ設計・開発などに活用する取り組みを共同で進めると発表した。
両社は今後、実証実験などを実施し、公共インフラを管理する自治体、関連企業、利用者への「スマートインフラソリューション」の提供を目指す。
当面のターゲットは、防災インフラ、社会インフラの2つの分野だ。
防災インフラ分野では、5G及びIoT向けの通信サービス、デバイス、映像ディープラーニングによる適切な災害監視、データに基づく情報提供、予測解析の実証実験を行う。
都内で開かれた記者会見で、ソフトバンク IoT事業推進本部 本部長の丹波廣寅氏は、防災インフラ分野での取り組みを説明。「要件の異なる多様な通信に対応できる5Gを用いて、センサーやビデオカメラなどの情報をサーバーに集約。他の情報と組み合わせてAIで分析することで、早期に警報を出せる」というソリューションを開発しているとした。長期にわたって蓄積された情報を活用することで、水位の変化を高精度で予測できるようになるという。
また、雨が降り出したことを雨量計だけでなく「4Kカメラで取得した車のワイパーの動き、路面の色の変化、人が傘をさすといった行動などによって検知できるようにする」ことも検討中だ。
丹波氏は、「街の中にばらまかれた膨大な数のセンサーから得られる、人間の物理的限界を超えた情報を詳細に分析することで、防災、さらには交通渋滞の解消なども可能になる」と述べ、「パシフィックコンサルタンツとともに“スマートインフラ”の実現に貢献していきたい」と意欲をみせた。
防災インフラ向けソリューションのイメージ
社会インフラ分野では、5G/IoT通信で得られたデータを解析し、人や車の流れを実情に近い形でシミュレートすることで、都市計画、駅の混雑対策、物流の効率化などに活かしていく。
パシフィックコンサルタンツ 社会マネジメント本部 交通政策部 交通デザイン室長の杉本伸之氏は、「通信ネットワークを利用して膨大な人やモノの動きを可視化することでインフラはもっと賢くなる」と述べた。例えば、駅の利用者の動を詳細に知ることで、「改札の向きを変える」「列車ダイヤを組み替える」などの混雑対策がとれるようになるという。「同様に道路や空港、港湾などのインフラを賢く使うことで、都市が本来の力を発揮できるようなる」と杉本氏は強調する。
社会インフラ分野の取り組みの1つ「交通IoTソリューション」のイメージ
ソフトバンクとパシフィックコンサルタンツは、協業の成果をそれぞれの事業領域で事業に結びつけていく。ソフトバンクでは「5Gを待つのではなくNB-IoTなどを活用し、できるところから事業化していく」(丹波氏)考えだ。
(左から)ソフトバンク 代表取締役副社長 兼 COOの今井康之氏、
パシフィックコンサルタンツ 代表取締役社長の高木茂知氏