NTT東日本・西日本(以下、NTT東西)は2017年10月17日、固定電話のIP網への切り替えを2024年1月より開始すると発表した。交換機などが2025年頃に維持限界を迎えるため。1年かけて切替を行い、2025年1月に完了する。全国規模での固定電話のIP化は主要国でも初めてとなる。
2024年1月にIP網への移行を開始する |
IP網切替後の通話料金は全国一律3分8.5円(税抜)。従来は長距離になるほど料金が高くなっていたが、IP網の特性を活かし、全国一律の料金体系となる。また、基本料は現行のままとする。通話先によって電話会社を選べるマイラインは廃止されるが、具体的な手続きについては事業者間で協議中だという。
|
IP網移行後のイメージ |
IP網への移行により提供が困難になるサービス、あるいは利用の減少が見込まれるサービスについては、IP網への切替に合わせて2024年1月に提供を終了する。
その1つに「INSネット ディジタル通信モード」がある。代替策としてフレッツ光や無線によるIPデータ通信サービスなどを提案している。しかし、端末の更改が間に合わない加入者もいることから、10年程度の時間的余裕を確保したうえで、2027年頃までを目途として、切替後のINSネット上のデータ通信(補完策)の提供を検討している。
|
「INSネット ディジタル通信モード」については、補完策を検討する |
ただ、現行のINSネット ディジタル通信モードとは品質が異なり、利用する機器によっては処理時間が増加することがある。このため、補完策の検証環境を2016年9月より提供しており、これまでに36の企業・団体が利用している。
NTT東西は新たにモデム通信の検証環境を用意、同日より申込受付を開始した。アナログモデムを使ったEDIでもIP変換による遅延の可能性があることから、関係する業界団体などからの要望を受けてのものだ。
|
モデム通信の検証環境も新たに提供する |
IP網への移行に際し、加入者は手続きや宅内の工事は不要だが、悪質な勧誘や販売が懸念される。NTT東西では新聞広告や請求書へのお知らせの同封などにより、周知徹底を図るとしている。