クアルコムは2017年8月24日、東京都内で記者説明会を開催、主力SoC製品「Snapdragon(スナップドラゴン)」のIoT分野への普及戦略を説明した。
まず、同社のIoT分野への取り組みについて紹介したのが、クアルコムCDMAテクノロジーズ 副社長の須永順子氏だ。
「当社はWi-FiやBluetoothのチップを1日100万個以上出荷している、1日230万個を出荷するモバイル向けSoCには及ばないが、すでにIoTエコシステムの一角に食い込んでいる」。須永氏はこう述べたうえで、「モバイルで培ってきた多様な技術を盛り込んだSnapdragonを、IoTで使っていただくことで、イノベーションを加速することが当社のゴールだ」と語った。
その具体策として、クアルコムがパートナーと協力して推進しているのが、「レファレンス・デザイン・プラットフォーム」の整備である。スマートフォンなどのモバイルデバイスでは、半導体ベンダーが製品の基本機能をサポートするSoCを提供。これを活用することでセットメーカーが短期間で製品を開発・投入できる体制が確立されている。同様の展開をIoTデバイスでも可能にしようというのである。
ここで問題になるのがスマートフォンなどとは異なり、IoT分野の場合、デバイスの開発経験がない様々な企業が参入し、さらに多種多様な製品の開発が求められていることだ。そこでクアルコムでは、スマートウォッチ、AIアシスタント、監視カメラ、VRゴーグルなど、Snapdragonの利用が見込まれる代表的な製品カテゴリー毎に、「Snapdragonに必要な周辺部材、ソフトウェアを組み合わせてターンキーに近い形で提供できるソリューション」(須永氏)をパートナーと協力して開発。技術サポートを合わせて提供することで、「IoTデバイスを短期間・低コストで商用展開できる枠組みを整備している」という。
クアルコムが展開するリファレンス・デザイン・プラットフォームの例
このレファレンス・デザイン・プラットフォームは、すでに25種類以上が提供されており、多くのIoT製品が登場しているという。須永氏は「ルイ・ヴィトンのスマートウォッチにもSnapdragonが使われている」と明かした。