「電力×IoT」で付加価値競争に勝つ――東京電力が電力小売り全面自由化に向けた事業戦略

東京電力は、10月16日、電力自由化に向けた事業戦略の説明会を開催、小売り競争に勝ち抜く販売戦略を明らかにすると同時に、「みらい型インフラ企業」への企業ビジョンを発表した。

また、ソフトバンクなど通信事業者をはじめとする他業種との業務提携については、さらに積極的に進めると方針を明らかにした。

統合サービスを提供する「みらい型インフラ企業」へ冒頭のあいさつに立った、東京電力執行役員で小売り事業を担当するカスタマーサービス・カンパニーの佐藤梨江子バイスプレジデントは、「自由化にともない当初は安い電力ということに注目が集まるかもしれないが、本来の目的は生活やビジネスにエネルギーが役立つことにあり、スマートメーターなどの活用で電力とIoTによる付加価値の提供に力を入れていきたい」と、方向を述べた。

佐藤梨江子カスタマーサービス・カンパニーバイスプレジデント
佐藤梨江子カスタマーサービス・カンパニーバイスプレジデント

 

事業戦略の発表を行った、カスタマーサービス・カンパニーの眞田秀雄経営企画室長は、電力システム改革の経緯を述べた後、「2015年度基本方針(ビジョン)」について、「顧客にとって最も効率的なエネルギー利用を提案・提供し、将来的には顧客の設備まで含めて中長期的なインフラ利用コストを最小化する商品・サービスを提供するみらい型インフラ企業を目指す」と説明した。そして、「(1)電気、(2)ガス、(3)新サービス」の3つの商品・サービスを重点的に提供すると明らかにした。

眞田秀雄カスタマーサービス・カンパニー経営企画室長
眞田秀雄カスタマーサービス・カンパニー経営企画室長

これまでの電気に加え、ガスをもう1つの基軸商品とし、さらにスマートメーターを活用した様々な「お役立ちサービス」を提供するという事業戦略で新たな事業参入者との競争を勝ち抜いていくと述べた。

(3)の新サービスでは、東京電力はすでに会員サイト「でんき家計簿」や「家電アシスト」サービスも提供しているが、これらを「暮らしのプラットフォーム」として発展させながら、サービスの拡充を進める方針。サービスのカバー範囲は、電気、水道、ガス、放送、クレジットカード、損害保険、電話・インターネット、新聞などにまで拡大し、それらの契約・変更が簡単にできるサービスイメージを提起した。

自由化に向けた電気の新料金は近日、発表する予定だが、電気事業では燃料や送配電料で95%を占めており、単なる安値料金競争は市場の発展にはならないと強調した。

2015年度基本方針(ビジョン)
2015年度基本方針(ビジョン)では、電気、ガス、サービスの3つが位置付けられた

 

通信、ガスとの販売提携をさらに推進小売り全面自由化に向けた、業務提携については、「多様な分野・業種とのアライアンスを進め、新しい価値を提供する」とし、「アライアンス先の保有する商品力と販売力」に期待し、さらに推進するとした。

すでに公表している、ソフトバンク、USEN、TOKAI、CCC、リクルートなどとの提携の意義を確認したうえで、ガス会社との業務提携を重視していると述べた。

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