NTTドコモは2015年3月25日、モビリティシェアリング事業に関する説明会を開催した。「スマートライフのパートナーへ」を目標に通信を活用した新領域の開拓を目指す同社では、自転車をはじめとするモビリティシェアリングを環境・エコロジー事業の1つと位置付けている。
(左から)RT.ワークスの河野誠氏、WHILLの杉江理氏、NTTドコモの中山俊樹氏、片山工業の片山昌之氏 |
11年4月からは自転車を使ったサイクルシェアリング事業を展開しており、これまでに東京都千代田区や港区、仙台市、横浜市など6市区でサービスを提供している。事業化のめどが立ったことから、この2月にはサイクルシェアリング事業を行う合弁会社「株式会社ドコモ・バイクシェア」をNTT都市開発やNTTデータなどと設立した。
ドコモのモビリティシェアシステムのイメージ |
NTTドコモ取締役常務執行役員スマートライフビジネス本部長の中山俊樹氏は「なぜドコモが自転車をと聞かれるが、IoTそのもの。通信、GPS、ビーコンと3種類のモジュールを自転車に組み込むことでシェアリングシステムを格段に安く、かつ安全・効率的に運用することが可能になる」とモビリティシェアリングに注力する理由を説明した。
ドコモではモビリティシェアリングの取り組みをさらに強化する方針で、同日、パーソナル・モビリティの開発・販売を行うベンチャー企業のWHILLとの提携を発表した。WHILLが開発した電動車椅子「WHILL Model A」をドコモのモビリティシェアシステムに対応させ、自治体や企業などに貸し出すWHILLシェアソリューションを4月1日より開始する。
WHILL Model Aは、前輪に24個の小さなタイヤを組み合わせることでその場での回転や方向転換を実現し、坂道や砂利道での走行も可能にする。左手のレバーと右手のマウスで速度や進行方向を簡単に操作できる。
WHILLシェアソリューションは、4年契約で1台あたり月額3万9000円(税抜)で、自治体やテーマパークなどに貸し出す。
また、ドコモは4月1日から東京都中央区の晴海エリアで、RT.ワークスが開発した電動歩行アシストカート「ロボットアシストウォーカーRT.1」と、片山工業が開発した立踏み式電動自転車「ウォーキングバイシクル」の実証実験を開始する。
いずれも通信機能やGPS機能、貸出・返却管理やバッテリー残量の把握などの遠隔制御機能を搭載し、ドコモのモビリティシェアシステムに対応する。
モビリティシェアリング市場は15年の600億円から、20年には1500億円まで拡大することが見込まれる。ドコモでは「シェア10%を目指したい」(中山氏)としている。