紙パルプの専門商社として業界2位の地位を誇る国際紙パルプ商事。同社が初めてスマートフォンを本格導入したのは2011年秋のことである。電話機を含めたネットワーク全体の更新に合わせて、全営業担当者を対象にKDDIのスマートフォン420台を貸与した。
それ以前は複数の携帯キャリアのフィーチャーフォンを利用しており、営業の携帯の利用状況に応じ、キャリア毎に料金プランの最適化を定期的に図る必要があった。しかし、スマートフォンの導入を機に、キャリアおよび利用機種を全社的に統一。費用管理を一元化し、業務効率の向上とスケールメリットによるコスト削減に結びつけた。
東京中央区明石町にある国際紙パルプ商事の本社ビル。同社の従業員数は715名(2014年4月1日現在)。国内事業所6カ所、海外24カ所の拠点を構える |
「携帯キャリアにKDDIを選んだのは、営業担当が技術スタッフを携え足繁く通い、当社の電話システムの改善にあたり最大限の努力を惜しまなかったこと。親身な顧客アプローチによってユーザーの抱える通話品質等の課題を共有し、解決の糸口を見出したことで強い信頼関係を築いたことが大きいです」。国際紙パルプ商事の満足力衛氏はこう話す。
国際紙パルプ商事 満足力衛氏 |
スマートフォンの導入にあたっては、セキュリティを担保するため、KDDIのMDMサービス「KDDI Smart Mobile Safety Manager」(SMSM)も採用した。SMSMを活用し、管理者が一括してアプリの利用を制限したり、盗難・紛失時に遠隔からロックやデータ削除を行えるようにしている。
さらに、国際紙パルプ商事では、スマートフォン携行の際はネックストラップを装着させ、紛失の未然防止と情報端末を扱う利用者のセキュリティの意識づけを行っている。
バッテリー長持ちでカメラ性能も抜群だった「AQUOS PHONE」
いいこと尽くしのスマートフォン――と言いたいところだが、課題がないわけではなかった。このとき採用した韓国製のスマートフォンには、バッテリーの持ちが悪いという欠点があったのだ。ほかにも「ワンセグ機能がない」「呼び出しランプが付かない」などの不満が営業担当者からは寄せられていたという。
そこで契約が満期を迎えた2013年秋、シャープの「AQUOS PHONE」(SHL-22)に機種変更した。AQUOS PHONEを選んだ理由は、国内メーカーならではの手厚い製品保証や、ワンセグ機能と呼び出しランプ、さらには防水機能や簡易留守録機能などを標準で備え、そして何よりバッテリーの持ちがほかのスマートフォンに比べて格段に良かったからである。
優れたカメラ性能も高く評価している。スマートフォンならではの高精細な写真データをピンチインやピンチアウトといった操作で、再現したい箇所を思うままに拡大縮小できる。
印刷上のトラブルは多種多様だが、紙に起因する場合、スマートフォンを活用すれば、現場写真を添えたメーカー担当者への一次報告をタイムリーに行うことが可能だ。その一次報告をもとに専門家の助言を適宜受けたり、さらに現場から必要な情報を聞き出すなどし、有効な解決方法を迅速に見つけられるのである。
また、国際紙パルプ商事の営業担当者は、海外出張も多い。しかし、最初に導入したスマートフォンは、通話できる国・地域が限られていたため、出張前に利用できるか否かを確認し、利用できない場合は現地の空港でレンタル機を借りるなどの手間がかかっていた。だが、AQUOS PHONEはほぼ全世界に対応しているので、そうした手間もなくなった。
「画面が大きくなったことで、ExcelやPDFなどの添付ファイルも見やすくなりました。AQUOS PHONEの導入で、営業担当者からのスマートフォンへの評価は一気に高まりました」と国際紙パルプ商事の松永幸雄氏は笑みを見せる。
国際紙パルプ商事 松永幸雄氏 |
ただし、今回のAQUOS PHONEへの機種変更で、すべてが諸手を挙げて喜ぶ状況にあるわけではないという。「着信時のバイブ振動や音量が小さく、気づかないケースが多いとの指摘もあり、この点は次回の機種選定時の考慮ポイントです」と国際紙パルプ商事の高橋伸隆氏は説明する。
国際紙パルプ商事 高橋伸隆氏 |