シスコシステムズ合同会社は2014年10月21日、ICTを活用したヘルスケアソリューション「Cisco Connected Healthcare Solution」の新たな取り組みについて発表した。
これは、医療の現場の情報共有を支援するもので、緊急・災害医療、高齢者生活サポートの実証実験での成果を交え紹介した。
シスコシステムズ 公共、医療担当 シニア ソリューションズ アーキテクト 兼務 ビジネス デベロップメント マネージャーの岩丸宏明氏、国立病院機構 災害医療センター 臨床研究部 兼 厚生労働省DMAT事務局の高橋礼子氏、京都府立医科大学大学院医学研究科 精神機能病態学の成本迅氏 |
冒頭で、シスコシステムズ 公共、医療担当 シニア ソリューションズ アーキテクト 兼務 ビジネス デベロップメント マネージャーの岩丸宏明氏は、IoTやデータ解析の進化を背景に、リアルタイムでの情報共有を可能にする「院内コラボレーション基盤」と患者向けITサービスなどの「院内リソース可用性」に、今、注目が集まっていると話した。次世代型病院に向けた差別化戦略としては、病状に応じたサービスや関連施設の間のスムーズな連携による「診療サービスの向上」、待ち時間を快適に過ごせる「患者サービスの革新」、ケアに充てる時間を最大化する「ワークスタイルの変革」が必要であると述べた。
続いて、シスコが協力して災害医療および高齢者サポートに関する取り組みを進めている2団体の代表者が講演を行った。
国立病院機構 災害医療センター 臨床研究部 兼 厚生労働省DMAT事務局の高橋礼子氏は、広域医療搬送訓練の成果として、災害医療支援システムEMIS(Emergency Medical Information System)による情報共有が効率的な災害対応につながると強調。そのために、EMISの基盤となる高速インターネット衛星を活用したコミュニケーションサービス「Cisco ECK」(Emergency Communication Kit)等を使って行っている訓練および実験の成果を紹介した。さらなる訓練と協力体制の構築が重要であると述べた。
「Cisco ECK」(Emergency Communication Kit) |
京都府立医科大学大学院医学研究科 精神機能病態学の成本迅氏は、高齢者の医療を支える産学官連携のプロジェクト「COLTEM」※を紹介、独居高齢者の見守りのほか、認知症の程度に応じた支援が不可欠であると語った。支援の量や種類を考えるには、個人の意思決定能力を見極める必要があり、ビデオ会議システム「Cisco TelePresence」を応用した表情読取り、診断する遠隔技術が有効であるという。
シスコシステムズでは、ICT技術を駆使した新しい災害医療支援モデルや持続可能な社会創出に向けた取り組みを、今後も支援していく方針だ。
※文部科学省の公募事業「革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)」における将来の拠点候補として、ビジョン達成に向けたコンセプトの検証や要素技術の検証を行うCOI-T(トライアル)に採択された事業の1つ)