ドコモビジネスの「GPU over APN」が進化、800G-ZRで世界初の長距離転送にも成功

IOWN APN(オールフォトニクス・ネットワーク)を活用したデータセンター分散化に取り組むNTTドコモビジネス(旧NTTコミュニケーションズ)が、新たな成果を発表した。複数拠点のGPUリソースをAPNで連携させる「GPU over APN」の接続距離を約3000kmまで延伸。また、800G-ZRと独自開発の「RDMA転送ツール」を活用した世界初のデータ高速伝送にも成功した。

NTTドコモビジネスは全国で約70カ所のデータセンターを運用しており、それら拠点間をAPNで接続する「APN専用線プラン」を2024年から提供している。同社 エバンジェリストの張暁晶氏によれば「APN専用線は、全国で1300回線以上の実績がある」という。

NTTドコモビジネス エバンジェリストの張暁晶氏

NTTドコモビジネス エバンジェリストの張暁晶氏

このIOWN APNの有望なユースケースの1つと見込まれているのが「データセンター分散化」だ。複数のデータセンターを大容量かつ低遅延なAPNで接続し、分散したコンピューティングリソースを連携させて高負荷な処理を行うといった使い方が想定されている。

AI需要が高まるなかで特に注目されるのが、複数拠点のGPUリソースを連携させる「GPU over APN」だ。

ドコモビジネスは2024年に、IOWN APNを使った分散データセンターでの生成AI学習の実証実験に世界で初めて成功した。約40km離れた2拠点のGPUサーバーをAPNでつないでGPUクラスターを構成。単一データセンター内とほぼ同等の処理性能を記録した(参考記事:IOWN APNで世界初 「分散GPUクラスターで生成AI学習」実証に成功)。2025年3月には、これを3拠点に増やした実証にも成功している。

GPU over APNのコンセプト

GPU over APNのコンセプト

そして今回は、接続距離を約3000kmまで伸ばした疑似環境を作り、AIモデル学習の所要時間を測定。単一データセンターでの学習所要時間と比べて1.07倍と、ほぼ同等の性能であることを確認した。なお、インターネット経由の分散データセンターでは、約5.10倍の処理時間を要したという。

約3000kmの疑似環境における実験結果

約3000kmの疑似環境における実験結果

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