<特集>企業・自治体のための衛星通信「超」入門新LEOは離陸秒読み OneWeb、Kuiper、AST SpaceMobileが提供へ

“Starlinkの独壇場“がいよいよ終わりそうだ。Eutelsat OneWeb、米アマゾンによるProject Kuiper、AST SpaceMobileといった低軌道衛星サービスの国内商用化が間近に迫っている。

Starlinkの登場以来、低軌道(LEO)衛星通信市場はStarlinkが独占していたが、ここ1、2年で複数のプレイヤーによる競争が本格化しそうだ(図表)。

図表 主な低軌道(LEO)衛星通信サービス

図表 主な低軌道(LEO)衛星通信サービス

Starlink Businessは安価で手軽に使えるものの、「コンシューマー向けサービスが起点になっている」とソフトバンク プロダクト技術本部 ユビキタスネットワーク企画統括部 事業戦略部 部長の才木一志氏は指摘する。

ソフトバンク プロダクト技術本部 ユビキタスネットワーク企画統括部 事業戦略部 部長 才木一志氏

ソフトバンク プロダクト技術本部 ユビキタスネットワーク企画統括部 事業戦略部 部長 才木一志氏

そこでソフトバンクは法人向けの新たな選択肢としてEutelsat OneWeb(以下、OneWeb)を加える。OneWebは英国の衛星通信事業者であるEutelsat OneWebが運営する、LEO衛星通信サービスである。Starlinkと同様、多数のLEO衛星によって高速通信を提供するものだが、大きな特徴はエンタープライズ向けに設計されていることだ。

ソフトバンクではOneWebと同社のVPNサービス「SmartVPN」をダイレクトに相互接続して提供する予定。高いセキュリティを担保できるため、政府系機関や、電力・水道などのインフラ系企業のIoT用途の引き合いがあるという。また、BCP対策においても閉域網接続は需要があり、あるガソリンスタンド運営企業は地上インフラ喪失時にも設備の制御データを本部とやりとりし、営業を継続する目的で活用を検討しているそうだ。

通信速度は下り最大195Mbps、上り最大32Mbps。帯域確保型サービスも提供する予定で、可搬型アンテナと組み合わせた報道目的での映像伝送や、不感地帯での建機の自動操縦といった用途も見込む。

OneWebのもう1つの特徴は、アンテナなど端末機器の開発におけるオープン性だ。StarlinkがSpaceX製の専用アンテナに限定されるのに対し、OneWebはサードパーティーによるカスタム開発が可能だ。海外では防衛向けや特殊用途に対応したアンテナも開発されているという。

こうした違いに加えて、価格帯による明確な棲み分けも進むとソフトバンクの才木氏はみる。「お金をかけてでも閉域性・秘匿性を求める顧客はOneWebを選び、安価にインターネットに接続できれば良いという層はStarlinkを選ぶだろう」

現在、ソフトバンクではOneWebの有償PoCを企業向けに提供中で、ニーズの把握や実運用の検証を進めている。本格的な商用化も「近日中」の見込みだという。

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