ソラコムは今年創業10周年を迎えた。節目となる年次カンファレンス「SORACOM Discovery 2025」では、基調講演に立った代表取締役社長の玉川憲氏が、IoT通信サービス「SORACOM Air」の契約回線数が800万を突破したことを報告した。
近年の業績で注目されるのが、グローバル展開の順調さだ。ソラコムのIoT向けSIMは213の国と地域、509の通信キャリアで利用可能で、「グローバル売上比率は40%を超えている」と玉川氏。同社のIoTプラットフォームを利用する顧客数は3万を超えているという。
基調講演で新戦略「リアルワールドAIプラットフォーム」について説明する代表取締役社長の玉川憲氏
ソラコムは、今回の年次イベントに先立つ7月9日に開催した記者説明会で、さらなる発展を目指す新戦略「リアルワールドAIプラットフォーム」を発表した(参考記事)。IoTプラットフォームと生成AIとの融合を加速させ、「現実世界のすべてをAIにつなぎ、より良い世界を創造する」ことがその目的だ。
7月9日の説明会では、この新戦略を推進するための新サービスも合わせて発表したが、今回の年次イベントでもさらなる新サービス/機能がアナウンスされた。
ソラコムが新分野へ進出、生成AIボットサービスを開始へ
1つめは、全く新しい分野である生成AIボットサービスだ。ソラコムのユーザーサポート業務用として2023年に自社開発したもので、先行利用する一部ユーザーのフィードバックを元に改良を重ねてきたという。
「Wisora(ウィソラ)」と名付けたこのサービスの特徴は、「非常に簡単にAIボットが作れる」(玉川氏)こと。例えば、ユーザーが自社のWebサイトや製品/サービス等に関するPDF、Officeドキュメント等を読み込ませることで、RAG(Retrieval-Augmented Generation)を活用し、読み込んだ情報をもとに正確な回答を生成する。
生成AIボットサービス「Wisora」の使用例
質問に対する応答の精度はフィードバックを通じて継続的に改善できる仕組みになっているという。デザインのカスタマイズ、対話履歴やフィードバックの可視化といった運用管理機能も備える。先行導入したNatureでは、Q&Aボットを構築してFAQの回答を自動化。24時間対応が可能になったことに加えて、サポート業務の効率化によってスタッフが複雑な問い合わせへの対応に注力できるようになったという。
Wisoraの提供開始は2025年8月上旬からの予定で、7月16日から先行登録を開始している。