電話やSMS、チャット、ビデオ通話などのコミュニケーション手段をAPIで提供するCPasS(Communication Platform as a Service)大手のTwilioは2025年6月26日、顧客エンゲージメントの動向についての年次調査結果を発表した。
同調査は2025年1月から2月にかけて、世界18カ国の消費者7640人と、ビジネスリーダー637人を対象に実施され、日本の消費者353人も参加した。
Twilio Japan 代表執行役員 社長の久保敦氏
“ブランドに理解されていない”と感じる消費者が8割
Twilio Japan 代表執行役員 社長の久保敦氏は、企業の94%が「AIによって顧客対応が改善した」と考えるのに対して、80%の消費者が「ブランドに自分のことが理解されていないと感じる」と回答したと紹介。「顧客体験におけるすれ違いが生じている」と指摘したうえで、このすれ違いを埋めるのがパーソナライゼーションだと強調した。例えば、パーソナライズされた対応を受けると39%の消費者が追加購入に前向きになり、また31%の消費者はリピート購入に至るという。
消費者の8割がブランドに自分のことを理解してもらえていないと回答
ただし、パーソナライゼーションの実行にも「すれ違い」が起きている。調査ではリアルタイムでパーソナライズされた対応を受けると、消費者の84%が購入する可能性が高まるという結果が出ている一方で、そうした対応を実施できていると回答したブランドは47%に留まる。
リアルタイムのパーソナライゼーションは購入可能性を高めるが、実行は道半ば
こうしたすれ違いを解消するために、久保氏は「一人ひとりに向き合う姿勢を軸に据える」必要があると主張した。つまり、パーソナライズ化をオプションではなく、顧客とのコミュニケーションを構築するうえでの中核的戦略にすべきということだ。
その象徴の1つが、AIエージェントだ。「チャットボットには自動応答だけでなく、パーソナライズされたAIエージェントであることが求められる」と久保氏は話し、顧客のコンテキストを理解することが不可欠だと述べた。久保氏がTwilioにおけるコンテキストの理解の例として挙げたのが多言語対応だ。Twilioが開発するAIエージェントは使用言語をコンテキストに応じて正しく認識でき、現在はフィリピンで用いられるタガリッシュ(タガログ語と英語の混成言語)にも対応しているという。