「ワイヤレスジャパン×ワイヤレス・テクノロジー・パーク(WTP) 2025」が2025年5月28日開幕した。920MHz帯を利用するLPWA規格「Wi-SUN」の普及を推進するWi-SUNアライアンスのブースには、半導体ベンダーからデバイス、ソフトウェアに測定/試験まで、「Wi-SUNのエコシステム」(ランディス&ギア ジャパンの柏木良夫氏)を構成する10の企業・団体が国内外から出展している。
Wi-SUNアライアンスのブースには10の企業・団体が国内外から出展
国際展開進むWi-SUN 北米でもスマートメーターに採用
Wi-SUNと言えば、「日本発のスマートメーター向け通信規格」というイメージが強いが、国際展開を積極的に行っている。Wi-SUNアライアンスは欧米のほか、ブラジル、インド等にも進出し、加盟者は46カ国の300団体以上に上っているという。
ランディス&ギアはWi-SUNの国際展開に貢献する1社だ。同社は創業から100年以上を重ねる、電力メーター製造のグローバル企業。同社は北米のスマートメーターにWi-SUN規格の1つであるWi-SUN FAN(Field Area Network)を導入し、当地の電力会社向けWi-SUN展開においてはトップを走っているという。
用途もスマートメーターに限らない。ランディス&ギアは配電盤センシングや街路灯制御にもWi-SUNを活用。英ロンドンでは「スマートストリートライト」の名称で、Wi-SUN FAN通信に対応した街路灯が運用されているという。
ランディス&ギアのWi-SUN対応機器。中央の細長い筐体が街路灯
また同社は、2024年4月に東京電力パワーグリッドのスマートメーターをWi-SUN Enhanced HANを採用した次世代システムに移行する準備が完了したことを発表。Wi-SUNのさらなる普及が大きく期待される。
最新規格は20倍以上高速化 カメラ運用や運転支援に用途拡大
日新システムズと京都大学は、Wi-SUN FANの最新規格である「Wi-SUN FAN 1.1」の認証試験に世界で初めて合格した無線モジュール(製造は長野日本無線)を展示。Wi-SUN FAN 1.1はOFDMに対応することで、従来規格の20倍以上となる最大2.4Mbpsの高速通信を実現した。
日新システムズ、京都大学、長野日本無線が開発したWi-SUN FAN 1.1評価ボード
5km以上の長距離通信やマルチホップによる広範囲のカバーも可能になり、「Wi-SUN FAN 1.1でスマートメーター市場が加速する」と日新システムズの和泉吉宏氏は展望を語った。AIカメラや、高精度GPS等と連携した運転支援もWi-SUN FAN 1.1の有望な用途だということだ。
会期3日めの30日13:00からは、セミナー会場Bで各社が登壇する「業界での標準採用がすすむWi-SUN最新動向」が開催される。展示と合わせ、Wi-SUNの最前線をつかんでほしい。