「IoTゴミ箱」でまちはどう変わる? 5G基地局や人流データ取得ツールに変貌も

欧米を中心に普及が始まっている「スマートゴミ箱」だが、国内でも観光地やスタジアムなどで導入が進んできた。ユーザー企業からは、スマートゴミ箱を「5G基地局化したい」といった声も上がる。

ごみ収集の人材不足が深刻化している。2024年8月に全国産業資源循環連合会が発表した、産業廃棄物処理業の景況動向に関する調査結果によると、約55%の企業が経営上の問題点として「従業員の不足」を挙げている。

観光地などでは、インバウンド客によるごみのポイ捨てや不法投棄も問題視されている。川や海にごみが流出すると、環境汚染により生態系へ悪影響をおよぼすおそれもある。

こういったごみ問題の解決策の1つとして期待が大きいのが「スマートゴミ箱」だ。IoT技術を活用してごみの収集効率を向上させる“次世代型”のゴミ箱である。2019年設立のスタートアップ企業であるフォーステックは、このスマートゴミ箱の普及・拡大に力を注いでいる。

通信関連会社や電通などの広告代理店出身者など、様々なバックグラウンドを持つ従業員で構成されている同社は、米ボストンに本社を構えるBigBelly Solar社製のスマートゴミ箱「BigBelly」をリネームし、「SmaGO(スマゴ)」の名称で国内展開している。

スマートゴミ箱の特徴は?

SmaGOはごみが一定量溜まると、ごみを自動で圧縮する機能を備えており、1台で約600Lのごみを収容できる。SmaGO自体のサイズは一般的なゴミ箱より大きいうえ、圧縮機能により収容能力が約5倍にまで向上している。これにより、ごみ回収にかかる工数やコストなどを削減することができる。

また、SmaGO内に設置されたセンサーがゴミ箱に溜まったごみの量を検知し、4G/LTEでクラウドに伝送。スマートフォンやパソコン等でごみの蓄積状況をモニタリングできる。「ごみの圧縮回数や、1日に何回ゴミ箱の蓋が開けられたかを可視化できる」とフォーステック セールスエグゼクティブ&広報の森祐美子氏は説明する。SmaGOにはソーラーパネルと蓄電池も実装されており、8時間のソーラー充電で約1カ月安定稼働するという。

フォーステック セールスエグゼクティブ&広報 森祐美子氏

フォーステック セールスエグゼクティブ&広報 森祐美子氏

BigBellyは、世界60カ国で約10万台の導入実績がある。うちアメリカが約2万2000台、フランスが約2万9000台だ。人通りが多いメイン通りや大学、空港などで設置が進んでいるという。

一方、国内でのSmaGOの設置状況は約400台に留まる。「海外ではソーシャルサービスとして公共のゴミ箱を導入する動きが活発だが、日本は行政だけに頼って財源を確保することが難しいため、海外とは状況が異なる」と森氏は解説する。

図表 スマートゴミ箱「SmaGO」の特徴

図表 スマートゴミ箱「SmaGO」の特徴

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