SPECIAL TOPICミネベアミツミがZoom Phoneで電話刷新 世界120拠点・8万人超の「相合」支える

24カ国に120余の拠点を展開、従業員8万人超を抱えるグローバル企業のミネベアミツミ。同社は2023年の本部移転を機に電話システムを刷新し、KDDIとZoomが提供するクラウドPBX「Cloud Calling for Zoom Phone」を導入した。内線電話のモバイル化と電話機・配線コストの大幅削減を実現。今後、海外拠点も含めた全面移行を進める。

「相合」──。“相い合わせる”を意味するこの造語は、ミネベアミツミの強みを端的に表すキーワードだ。

M&Aを繰り返し多角化を進めてきた同社は、様々な技術・製品を相い合わせることで高い付加価値を生み出してきた。その結果、世界シェア1位のミニチュアベアリングから半導体、モーター、センサーなど10のコア技術と8つのコア事業を展開。他に類を見ない“相合”精密機械メーカーとして、グローバル市場で存在感を高めている。

このシナジーを発揮するのに欠かせない要素の1つが、コミュニケーションだ。国内に40拠点以上、世界24カ国に計129の製造・開発拠点を展開する同社は今、8万4千人の従業員をつなぐコミュニケーション基盤の再構築を進めている。2023年に東京本部を移転するのを機に電話システムを刷新。クラウドPBX「Zoom Phone」を採用した。

求めたのは「もっと身軽に」 固定電話機・配線コストも大幅減

ミネベアミツミは2023年3月に、東京本部および一部の営業拠点を、東京都港区・汐留に新設した東京クロステックガーデンへ移転・集約した。これを機にクラウドPBX導入に踏み切った狙いを、CDXO/常務執行役員の佐内桐梧氏は次のように語る。

「Zoom Phoneの導入で拠点間のコミュニケーションは非常にやりやすくなる。今後は随時、買収した会社もZoom化していく。電話システムの刷新・発展は、当社のモットーである『相合』の加速につながると経営層に理解してもらえたことも採用理由の1つだ」

(右から)ミネベアミツミ CDXO(最高デジタル・トランスフォーメーション責任者)常務執行役員 AI・DX推進部門、ITサービス部門統括 AI・DX推進室長の佐内桐梧氏、ITサービス部門 副部門長 ITサポート部 部長の坂田修康氏、ITサービス部門 ITサポート部 ネットワークコミュニケーション・サポート 課長の渡辺敏久氏

(右から)ミネベアミツミ CDXO(最高デジタル・トランスフォーメーション責任者)常務執行役員 AI・DX推進部門、ITサービス部門統括 AI・DX推進室長の佐内桐梧氏、ITサービス部門 副部門長 ITサポート部 部長の坂田修康氏、ITサービス部門 ITサポート部 ネットワークコミュニケーション・サポート 課長の渡辺敏久氏

Zoom Phone採用の背景には、旧本部で使っていたPBXのサポート終了(EOS)もあった。PBXの更新には多大なコストがかかり、ITサービス部門副部門長の坂田修康氏によれば「作業費・工事費が非常に大きい。10年後を考えて、もっと効率的なもの、身軽なものにしたいと考え、必要分だけの利用料を払うクラウドPBXを検討した」。

導入時のコストを抑えるキーポイントとなったのが、その工事費だ。新本部ではWi-Fiとモバイルの利用をメインに据えることで、有線LANの配線を最小限に抑えた。固定電話機を極力排除し、iPhoneやPCで内線電話を使う形態へ移行することで「固定電話機と配線費用をなくせる」(同氏)。

もちろん、クラウドPBX導入の決め手となったのはコストだけではない。「コロナ禍を経て『場所を選ばない働き方』を実現しようという構想は、本部移転プロジェクトの中で出てきていた」(佐内氏)。感染拡大時には、代表電話を取るために出社する社員もいたが、クラウド化とモバイル化を実現すればそんな事態は起こらない。これも固定電話機からiPhoneへの移行を後押しした。

結果として全廃はできなかったものの、旧本部には500台以上あった固定電話機は100台未満に減少。配線費用も含めて劇的なコストダウンを達成しながら、Zoom Phone+iPhoneの組み合わせによって自席以外、社外でもどこでもコミュニケーションできる柔軟な電話システムが構築できた。

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