通信事業者の「実はそこにもAWS」 クラウド技術を5Gコア、そしてRANへ

5Gコアのクラウド化でキャリアインフラの変革を後押ししてきたAWSが、ついにRAN領域にその範囲を広げる。NTTドコモが自社網へのOpen RAN導入にAWSを採用。海外展開でも手を組む。

アマゾン ウェブ サービス ジャパン 執行役員 情報通信・メディア・エンターテイメント・ゲーム・スポーツ・戦略事業統括本部 統括本部長 恒松幹彦氏

アマゾン ウェブ サービス ジャパン 執行役員 情報通信・メディア・エンターテイメント・ゲーム・スポーツ・戦略事業統括本部 統括本部長 恒松幹彦氏

2024年2月末、Amazon Web Services(AWS)とNTTドコモがOpen RANの展開で連携することを発表した。ドコモが日本全国にOpen RANを商用展開するにあたり、AWSを採用する。

具体的には、自社5G網に導入する仮想化RAN(vRAN)にAWSのコンテナ管理ソフトウェア「Amazon EKS(Elastic Kubernetes Service) Anywhere」を採用。オンプレミス環境やエッジ、クラウドと環境を問わず導入でき、Kubernetesクラスターの管理を自動化するこのツールによって、5Gネットワークの運用を簡素化するのが目的だ。AWSはこれを通じて、5G RANの運用容易化・最適化を支援する。

5Gコアは2022年から

AWSは以前からクラウド技術を駆使して通信事業者インフラの革新をサポートしてきている。ドコモとも2022年に、ハイブリッドクラウド環境でクラウドネイティブな5Gコアネットワークを動作させるためのPoCを開始した。そして今回、両社による「ネットワークのクラウド化」の取り組みはRANを含め5Gインフラ全体へ広がることになる。

日本の通信業界とAWSの関わりは古い。AWSジャパン 執行役員の恒松幹彦氏によれば、その端緒は2009年頃。モバイルアプリケーションの開発に始まり、データ分析や顧客管理などIT領域へAWSサービスの活用範囲が拡大した。今では「実はそこにもAWSがある、というほど様々なところで使われている」。

ドコモとの関わりも上記のみならず、2023年11月にNTT、スカパーJSATらと、Amazonが提供する低軌道衛星ブロードバンドサービス「Project Kuiper」に関する戦略的提携も発表した。

海外の通信事業者との間でも様々な取り組みが進んでいる。2023年の実績で目立つのが、通信事業者の他産業への進出や5Gの収益化に関するものだ。BT(英国)とは産業向けデジタルサービス分野でのパートナーシップを拡大。Singtel(シンガポール)は顧客対応の高度化を目的に、クラウドベースのコールセンター「Amazon Connect」を採用した。TELUS(カナダ)はAWSと連携して、スマートホームサービスの展開を始めている。

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