2002年のテレマティクス提供に始まり、20年以上にわたって「クルマと通信」の連携に取り組んできたKDDIとトヨタ自動車。2020年からはコネクティッドサービス開発に向けた共同検討も進めてきた両者は2024年2月20日に記者説明会を開催し、その成果と今後の取り組みについて説明した。
(左から)KDDI 執行役員 経営戦略本部長の門脇誠氏、
KDDI 技術統括本部 技術戦略本部長の大谷朋広氏、
トヨタ自動車 情報システム本部 情報通信企画部 部長の木津雅文氏
KDDIとトヨタの注力分野として、KDDI 執行役員 経営戦略本部長の門脇誠氏が挙げたのが次の3つだ。安全安心なモビリティ社会の実現、グリーンなモビリティ社会の実現、モビリティ体験価値の拡張である。
このうち安全安心なモビリティ社会の実現に関しては、両社の強みを活かして開発・運用する「交通デジタルツイン」を活用したサービスを2024年春から開始する。グリーンなモビリティ社会の実現、モビリティ体験価値の拡張については、今後のサービス/技術開発の方向性について説明した。
交通デジタルツインで危険地点を可視化
安全安心なモビリティ社会の実現に関しては、「交通事故の低減」と「コネクティッドの高セキュリティ化」の2つを追求する。
交通デジタルツインを核に安全・安心なモビリティ社会の実現を目指す
核となるのが、交通デジタルツインだ。auスマートフォンの位置情報や加入者の属性情報等から得られる人流データと、トヨタが持つ車両データ、さらに天気情報や過去の事故情報といったオープンデータを組み合わせてAIが分析。それを「危険地帯の可視化と危険回避に役立てる。潜在的な危険エリアをデータ分析によって把握し、スコアリングしておいて危険情報として提供する」(門脇氏)
危険地点スコアリングは、「高齢の歩行者が多い」「自転車の交通量が多い」といった要因を含めて判断している。そのため、自治体などがこれを活用して、交通事故の低減に向けた「対処を選ぶことができる」とKDDI 技術統括本部 技術戦略本部長の大谷朋広氏は話した。「高齢者の歩行が多い場所には標識を設置する、自転車通行量が多い幹線道路には自転車通行帯を設置する、急ブレーキ多発地点には一時停止線を設けるなどの対策が可能になる」という。
危険地点の見える化のイメージ
こうした活用を見越して、2024年春から危険地点スコアリングを自治体や企業向けに提供する。