KDDIアジャイル開発センターは2023年12月19日、生成AIを活用して2つのプロダクトを開発したと発表した。
同社は、生成AI活用の推進や、関連する情報・知識・技術の獲得のため社内に「KAG Generative AI Lab」というチームをつくり活動している。今回のプロダクトはその成果となる。
1つめは「デパサポAIチャット」。KDDIの法人向け営業部隊に向けて開発されたもので、顧客から受ける申告の初期対応を工夫することで、対応負荷を軽減することを目的とする。
「デバサポAIチャット」のアーキテクチャ
デバサポAIチャットのアーキテクチャはMicrosoft Azureを利用して設計された。セキュアに社内文章を取り扱うため、閉域化されたネットワーク上に構成されているという。今回のPoCでは法人向けスマートフォンおよびモバイルWi-Fiルーターの取り扱い説明書のPDFファイルと、約1000件顧客からの不具合対応履歴情報のCSVファイルをチャットボットに取り込んだ。
PoCに参加した利用者からは、「既存の方法よりもストレスが少なく業務遂行できるためユーザーの活用意欲が高かった」「過去事例の探索では現状のやり方と比較すると少ない手数で素早く情報を集められる」といったポジティブなフィードバックがあった一方、「原因切り分けではAIチャットボットが回答する情報が足りない・整合性が信頼できない」「回答精度を求めてチューニングして入力方法をカスタマイズした結果、プロンプトの入力フォーマットが難解になり良い回答を引き出すのに慣れが必要」といった課題も明らかになったという。
2つめは、テーマを指定するだけでDX新規事業サービスのアイデアを作り出すためのプロダクト「ビジつく!」。テーマを指定し提示されたジョブ(課題)やアイデアから気になるものを選ぶだけで新規事業開発を体験することができるが、人手ではジョブのバリエーションが乏しくなるという課題があったという。
「ビジつく!」サービス画面例
そこで同プロダクトでは、ジョブの提案をAWSより提供されている生成AIサービス「Amazon Bedrock」で行うこととした。Amazon Bedrockの早期検証目的の1つだったという。利用者の課題と合わせ、LLM(大規模言語モデル)の価値をうまく活かすことができるようにサービス設計が行えたとしている。
「ビジつく!」のアーキテクチャ
上図の通り、ビジつく!はAmazon Bedrockを含めすべてAWSクラウドのなかで開発されている。AWSは習熟度の高いエンジニアが多く、またマネージドサービスが豊富なため、開発速度の担保や安定したサービスを作る上で大きなメリットがあったという。