日本アバイアは2010年9月16日、企業向けコラボレーションソリューションの新製品群「Avaya Video Collaboration Solutions」を発表した。ユニファイドコミュニケーション(UC)市場における同社最大のライバルであるシスコがWebExやタンバーグの買収、テレプレゼンスの投入など、ビデオソリューションに大変な力を注ぐなか、ついにアバイアもビデオ会議市場に参入した。
今回、アバイアが発表したのは次の4製品である。1つめは、小規模向けから大規模向けまでの5モデルを用意したHDビデオ会議ソリューション「Avaya Video Conferencing Solutions 1000シリーズ」で、参考価格は3699~2万1999米ドル。2番目は、ソフトフォンの「Avaya one-X Communicator 6.0」だ。one-X Communicatorは従来もビデオ機能を搭載していたが、新たにHDビデオをサポートした。
参入当初から、しっかりとラインナップを揃えてきたという印象だが、他社との差別化という意味で興味深いのは残る2つの新製品である。
Avaya Video Conferencing Solutions 1000シリーズ |
まずは、ビデオ、電話、IM、メール、SNS等を統合したユーザーインターフェース(UI)の「Avaya Flare Experience」だ。ビデオ会議専業のベンダーと比較して、アバイアなど総合UCベンダーの優位性となるのは、統合されたソリューションの1つとしてビデオ会議を提供できることだ。ただし、この点を本当にアドバンテージとするには、バックエンド側の統合だけでなく、エンドユーザー側の接点となるUIをいかに上手に統合もするかも非常に重要なカギを握る。そこでアバイアが新開発したのがFlareである。
Avaya Flare Experience |
Flareの操作方法はこんな感じだ。画面右側にあるのがコンタクトリスト。回転式の名刺入れのように指でドラッグすると次々表示されるメンバーが切り替わる、このコンタクトリストから連絡したい人・グループを選び、画面中央の「SPOTLIGHT」と呼ばれるスペースにドラッグ&ドロップし、電話やビデオ、メールなど目的のツールのボタンを押す。これでコミュニケーションが始まる仕組みだ。また、画面左側には、通話履歴や使用した資料など、相手の詳細情報が表示される。
Flareの特徴として日本アバイアのロバート・スチーブンソン代表取締役社長が強調したのは、その操作性だ。同氏は従来のビデオ会議、そしてUCの課題として、誰にでも操作しやすいUIではなかった点を指摘したうえで、Flareについて「電話のように直感的な操作でコラボレーションが行える」と語った。
スチーブンソン社長によれば、Flareはアバイアの今後のUCソリューションの「中心」を担うものだが、Flare採用デバイスの第1弾となるのは同社のIP電話機「Avaya one-X 9600シリーズ」、そして4番目の新製品である「Avaya Desktop Video Device」だ。Windowsやスマートフォンなど向けにFlareの提供が始まるのは2011年になる。
Avaya Desktop Video Device(写真はベースユニットを装着した状態)。通信インターフェースは本体が10/100Mbpsイーサ×1、IEEE802.11b/g、Bluetoothをサポート。ベースユニットはギガビットイーサ×2、RJ11ヘッドセットおよびハンドセットジャック、USB2.0×2を搭載 |
Avaya Desktop Video Deviceは、11.6インチのタッチスクリーンとJBL製スピーカーを搭載したデスクトップ用ビデオ会議端末だ。OSはAndroid 2.1を採用。HDビデオに対応するほか、音声会議、IM、ドキュメント共有、Webブラウジングなどが行える。価格はオープンで、参考価格は本体が3750米ドル、ベースユニットが395米ドル。
日本でビデオ会議といえば、Web会議にしても会議室に設置されていることがほとんどだが、Avaya Desktop Video Deviceを導入すれば、ビデオ会議の利用場所はデスクや客先など、さまざまな場所に広がる。もちろんPCを利用するWeb会議でも、どこでもビデオ会議を行えるが、異なるのは専用端末ならではの使い勝手の良さだ。アバイアでは、ビデオ会議を頻繁に利用するナレッジワーカーに特に絞って、まずは拡販していく考えだという。
各製品の提供開始時期は、Avaya Desktop Video Deviceが11月30日、Avaya Video Conferencing Solutions 1000シリーズが9月16日、Avaya one-X Communicator 6.0が10月4日。いずれの製品も利用するには、アバイアのUCプラットフォーム「Avaya Aura」の導入が基本的に必要となる。