――オープンネットワーキング業界の注目点として、何が挙げられますか。
ヘイムダル ここ2年で、新しいタイプのお客様が登場しました。LinuxベースのオープンソースOSである「SONiC」とEdgecoreのスイッチを組み合わせて使うケースが増えてきています。
――ホワイトボックススイッチ向けのOSには、Linuxベースのものが多いですが、なかでもSONiCへの関心は日本でも高まっています。
ヘイムダル 我々の顧客層は、データセンター(DC)とサービスプロバイダー、エンタープライズの3つに分かれます。なかでもDC事業者はハードウェアとソフトウェアの分離モデル、そしてSONiCにいち早く飛びつきました。コンピューティング基盤とネットワークをより適切に制御することが、その目的です。
また、独自のネットワークアプリケーションを開発したい方にとっては、オープンなOSが必要になります。一方で、ターンキーのソリューションを求めるお客様もいて、日本市場ではSIerと一緒に、こうしたお客様をサポートしています。
オープン化はSONiCを軸に
――ホワイトボックススイッチのベンダーはいくつかありますが、Edgecoreの強みは何ですか。
ヘイムダル コミュニティ版SONiCの機能を拡張し、かつサポートオプションも備えた商用版の「Edgecore SONiC」があることです。新しいネットワーク機能を開発して顧客に提供し、開発・変更する際にはコミュニティにフィードバックを提供します。
ビジネスを行う上でのこのオープンな方法は、ビジネスEdgecoreの強みであり、ハードウェアのみにフォーカスしている競合他社との違いとなっています。
――多くのネットワークOSがあるなかで、SONiCにコミットする理由は。
ヘイムダル 現時点で最も準備が整っており、主要な顧客の指示を得ていて、マイクロソフトという大企業が推進していることが理由です。
スイッチ事業は、PCや携帯電話と同じように進化していくと考えています。最初にコンピューターでハードとソフトが分離され、オープン化によってイノベーションが加速しました。今ではLinuxやWindows上で、様々なアプリケーションを使うことができます。
携帯電話も同様に、AndroidやiOSの普及を経てUberやSnapchatのようなアプリが生み出されました。
ネットワーク業界でも、SONiCがLinuxやAndroidのような存在になり、Edgecoreのスイッチが現在のサーバーやスマートフォンのように使われることになるでしょう。
――ネットワークのオープン化は、SONiCを軸に進んでいくと。
ヘイムダル iPhoneのApp StoreやコンピューターにおけるLinuxのように、スイッチングの世界でも人々が自由にアプリを開発し、利用できるエコシステムを構築したいと考えています。それによって、新しいネットワーク技術を利用する組織、人を増やしたいのです。
これまで新たなネットワーク機能やアプリケーションを開発できるプレイヤーは独自ソリューションを持つ大手企業にほぼ限られており、小規模企業がネットワーキング業界に参入するのは大変でした。しかし今なら、EdgecoreのスイッチとSONiCがあれば誰でも最新のネットワーク技術を使ったアプリケーションを開発することができます。