臨場感のある試合映像を可能に「新たな観戦システム」の実証実験では、ローカル5Gを活用した高精細映像が使われている。
具体的には、可搬型のローカル5G対応4Kカメラ2台を用いて、様々なアングルから撮影した映像のリアルタイム伝送を行った。
可搬型のローカル5G対応4Kカメラの活用により、ゴールキーパーや審判の目線に立った映像やベンチの様子なども撮影できる。しかも、「臨場感のある映像をリアルタイムで視聴することも可能」と日坂氏は説明する。
今回の実証実験は産官学連携で行われており、NTT西日本が実証実験全体のコントロールを行い、ローカル5Gの性能評価やアンテナ設置場所の選定などは、富士通グループのSIerである富士通Japanが請け負った。
図表 ローカル5Gシステムの構築状況(画像クリックで拡大)
「自治体や企業が自前でローカル5G環境を構築することは現時点では難しいので、きちんとしたプロジェクトマネジメントができるSIerや通信事業者によるサポートが不可欠」と日坂氏は指摘する。
また、ローカル5Gの機器はこれから低廉化が進んでいくといわれるが、現状、特に屋外用については選択肢が少なく、また高額であることも普及に向けた課題だという。
実証実験は、今年3月まで行われる予定。その結果、コロナ禍における密の回避とスポーツ活動の両立に効果が見込まれると判断したシステムについては、引き続き三木総合防災公園に設置し運用することで、ポストコロナ時代の新しいスポーツ指導や観戦スタイルの普及を図っていきたいという。
また、地元の中学校や高校、大学の部活動や地域住民の健康増進活動に対し、実証実験を通じて得られたノウハウを提供することも検討している。
スポーツにローカル5Gを活用するユースケースはほとんど前例がないが、兵庫県の取り組みをきっかけに、全国で活用が進む可能性が高そうだ。