企業ネットワーク最前線

<特集>ローカル5G超入門 「基本」から「一歩先」まで

これだけは知っておきたい!ローカル5Gの基礎知識 (1)ローカル5Gとは?

文◎business network.jp編集部 2022.03.11

  • Teitter
  • facebook
  • 印刷

「ローカル5Gに大きな注目が集まっているが、実はよく理解できていない」。そんな悩みを抱えるビジネスパーソン向けに、今さら聞けない初歩から必須用語、導入方法までを解説する。今回は「ローカル5Gって何?」「パブリック5Gとの違い」「ローカル5Gで何ができる?」「Wi-Fiではダメなの?」の4つの疑問に答える。

4.Wi-Fiではダメなの?Wi-Fi 6ではダメなのか?──。

ローカル5Gのユースケースを見て、そんな疑問を持つ人も多いはずだ。実際、Wi-Fi 6で実現可能な用途も少なくない。どころか、導入・運用のしやすさにおいてWi-Fi 6はローカル5Gを遥かに凌ぐ。ローカル5G導入には最低でも数千万円の費用と、免許申請手続や陸上特殊無線技士の設置等の手間がかかるが、Wi-Fi 6は数万円のアクセスポイント(AP)購入から始められる。その差は大きい。

現状では、Wi-Fi 6で対応できないほど要件の厳しいユースケースにおいて初めて、ローカル5Gが選択肢となろう。両者の長所と短所を理解し、適切に使い分けることが必要だ。

ローカル5Gの長所は?

ローカル5G が優れている点は、通信品質の安定度、セキュリティ強度、低遅延、電波到達範囲の広さだ。これが、「Wi-Fi 6で十分」なのか「ローカル5Gが必要」かの判断基準となる。

Wi-Fi 6は、無線免許が不要で誰でも使える「非免許周波数帯」の2.4GHz・5GHz帯を使用する。家電等でも広く用いられるため、あらゆる場所で電波が飛び交い、干渉が発生しやすい。

対して、ローカル5Gは、無線免許を取得した者だけが使える「免許周波数帯」である28GHz帯と4.7GHz帯を使う。隣接するローカル5G事業者や通信事業者との間で事前に電波干渉調整・対策を行うことで、通信品質を安定させることができる。電波干渉による性能劣化や通信断を極力避けたい場合に、ローカル5Gは有効だ。

セキュリティについては、ローカル5GはAccess Point Name(APN)とパスワードを用いた認証と、SIMによる認証を併用する。そのため、SSIDとパスワードによる認証のみのWi-Fiに比べてパスワード漏洩によるリスクが小さい。Wi-Fi 6に証明書認証等を組み合わせることも可能だが、リソースが貧弱なIoTデバイスでは難しい。標準で強固なセキュリティが担保できる点も、ローカル5Gの利点だ。

遅延・到達距離にも差

遅延の少なさもローカル5Gに分がある。工作機械の制御や、建設機械の遠隔操作といったユースケースで、この点が威力を発揮する。

Wi-Fi 6の遅延は20~30ミリ秒(ms)であるのに対し、ローカル5Gの無線区間の遅延は数ms以下だ。産業ネットワークへの適用を想定した実証実験では、無線基地局から制御システムまでの有線区間を含めたエンドツーエンドで25ms程度の低遅延通信が可能なことを実証した例もある。

無線区間で数十msの遅延が許容されるケースではWi-Fi 6も十分に選択肢となるが、信頼性と遅延についてより厳しい条件が求められるケースで無線を活用するには、ローカル5Gが唯一の選択肢となる。

最後に、広いエリアを効率的にカバーしたい場合もローカル5Gは有効だ。5Gの電波は見通しさえよければ、Wi-Fiよりも遠くまで到達させることができる。実際の環境に大きく依存するものの、例えば2019年にJR東日本やエイビット等が4.7GHz帯で行った実証実験では、通常の送信電力で見通し1kmの送信に成功している。

Wi-Fi 6では何台ものAPを使ってカバーしなければならない建物・敷地も、ローカル5Gなら1台から数台の基地局で済むケースもある。AP/基地局をつなぐ有線ネットワークを簡略化したい場合や、Wi-Fi電波が届かず光ファイバーの敷設もできない場所を無線化したい場合に有効だ。

 

図表 ローカル5GとWi-Fi 6の比較

  ローカル5G Wi-Fi 6 
周波数帯  28GHz 帯、4.7GHz 帯
【要免許】
2.4GHz 帯、5GHz 帯
【免許不要】
最大速度 10~20Gbps 9.6Gbps
認証方式 APN/パスワード、SIM SSID/パスワード
安定性
(他事業者との干渉対策が必要)

(非免許帯のため干渉・混信対策が困難)
通信遅延
(無線区間)
eMBB:4ms
URLLC:1ms
20~30ms
到達範囲 1台の基地局で広範囲をカバー 長距離通信には不向き
セキュリティ SIM認証を行うため強度が高い
(ミリ波の場合)敷地・建物外に電波が漏洩しにくい
敷地・建物外に電波が漏洩しやすい
コスト 基地局・コア設備で数千万~1億円 AP1台につき数万円から
  • Teitter
  • facebook
  • 印刷

スペシャルトピックスPR

>> 今月の月刊テレコミュニケーション

月刊テレコミュニケーション【特集】WIRELESS SMART CITY

<Part1> ネットワークとともに進化する都市
<Part2> スマートシティネットワークの作り方
<Part3> 柏の葉に“Meta発”ミリ波無線の実験場
<Part4> スーパーシティ大阪 L5G広域利用の先行事例に
<Part5> ドローン「レベル4解禁」で変わる都市の物流
<Part6> ワイヤレス給電は都市をどう変えるか?

>>詳しい目次を見る

スペシャルトピックス

インテルインテルが進めるネットワーク仮想化 国内キャリアとの最新動向も
SDNとエッジ中心の未来を見据え、通信事業者と進める取り組みとは?
レッドハットインフラの自動化で34%の工数削減 レッドハットのネットワーク自動化2.0
人と人のコミュニケーションも効率化し、圧倒的な自動化を実現する。
i-PROセキュリティカメラの映像を遠隔監視 AI機能でマーケティングなどにも活用
幅広い用途に簡単、スピーディー、リーズナブルに対応するi-PRO Remo.
ジュニパーネットワークスWi-Fi 6E×AIで超効率ネットワーク 無線からWANまでクラウドシフト
ジュニパーはWi-Fi 6E時代に向けて、NW運用をAIとクラウドで効率化!
UniFiWi-Fi 6のライセンス費用がゼロに UniFiならコスパ抜群・簡単管理
圧倒的なコスパと手軽さで、オフィス、学校、工場、病院らが採用
日本マイクロソフト走り出した「5G網をAzureへ」計画
クラウド移行でキャリアは何を得るか

AT&Tの5GコアのAzure移行の狙いと進捗状況をマイクロソフトに聞いた。
ローデ・シュワルツ強みのミリ波技術で6G開発に貢献 1THz対応受信器もラインナップに
ローデ・シュワルツが得意のミリ波技術で6Gへの取組を強めている。

モバイル空間統計が直面した困難「ビッグデータのプライバシーを守れ」<連載>NTTグループのプロフェッショナルたち
モバイル空間統計が直面した困難「ビッグデータのプライバシーを守れ」
NTT Comサイバー攻撃事件の舞台裏「侵入者は対策メンバーのアカウントにもなりすましていた」<サイバーセキュリティ戦記>
NTT Comサイバー攻撃事件の舞台裏

「侵入者は対策メンバーのアカウントにもなりすましていた」
セイコーソリューションズISDNからインターネットへ スムーズな移行を可能にするには

ハードウェアを設置するだけ!ISDNからIP網への移行をフルサポート。

AirREAL-VOICE2簡単操作でマイグレーション実現
データ通信だけでなく通話・FAXも

アダプターの入替だけで移行が完了するMIの音声対応LTEルーター

NTTデータINSネットの後継ならお任せ!
移行で伝送時間短縮や負荷軽減

INSネットからの失敗しない移行方法をEB/FBの種類別に紹介しよう。

Wi-SUN AllianceWi-SUN認証デバイスが1億台突破
日本発の世界標準規格の普及加速

2.4Mbpsへの高速化など新たな進化も始まっている。

エヌビディアNTTとLINEが牽引する日本の自然言語処理、この2社がリーダーである理由

3月21日から開催の「NVIDIA GTC 2022 Spring」で知ろう!

ホワイトペーパー

アクセスランキング

tc202012

「通信」の力でビジネスを進化させるbusinessnetwork.jp

Copyright(c) 2020 RIC TELECOM Co.,Ltd. All Rights Reserved. 記事の無断転載を禁じます
当ウェブサイトはCookieを使用しています。閲覧を続ける場合、プライバシーポリシーに同意したことになります。