ビデオ会議の最新動向2017(前編)――「ハドルルーム」に大注目

ビデオコミュニケーション市場は、大規模会議室向けの普及は一段落し、小規模向けが中心となっている。グローバルで数千万室の潜在需要があるだけに、市場の拡大が続きそうだ。

広視野角で狭い部屋をカバー今、ビデオコミュニケーション市場で注目を集めているのが、「ハドルルーム」向け製品だ。

ハドルルームとは一般的には聞き慣れない言葉かもしれない。英語の「huddle room」がそのまま日本語として使われるようになったものだ。huddleには「詰め込む」といった意味があり、狭いスペースに数人程度のメンバーが集まって行う小規模な会議を意味する。

ハドルルーム向けのビデオ会議室に関しては、グローバルで3000万~5000万室もの潜在需要が残されているとの調査もあり、今後の拡大が大いに期待される分野だ。そのため国内でもロジクールが7月にビデオ会議システム「MeetUp(ミートアップ)」の提供を開始したのに続き、ヤマハが10月にビデオサウンドコラボレーションシステム「CS-700」の発売を予定するなど、各社から新製品が相次いで登場している。

これらの製品に共通するのが、①広視野角に対応したカメラ、②ノイズを排除したクリアな音声、③HDMIケーブルと電源ケーブルでつなげるシンプルな構成、④一体型で簡単に設置できるなど、小規模なスペースでの会議をスムーズに行うのに必要な機能を備えることだ。

このうちカメラについては、一般的なビデオ会議システムは奥行きのある広い部屋での利用を想定しているため、画角は90°に設定されている。ところが狭い部屋だとカメラと人の距離が近くなり、90°ではすべての参加者を映し出すことができない。そこでMeetUpやCS-700には120°の視野角に対応したカメラが搭載されている(MeetUpはパン/チルト機能を使えば175°まで拡大可能)。120°であれば、4m×4mほどの狭い部屋でもカメラから至近距離の席や部屋の隅にいる人をカバーすることが可能だ。

小規模会議室や奥行きのない部屋では席が画面に近く、視野角が90°のカメラではカバーしきれないが、120°なら全員を表示できる
小規模会議室や奥行きのない部屋では席が画面に近く、
視野角が90°のカメラではカバーしきれないが、120°なら全員を表示できる

次に音質についてだが、狭い室内にノートPCや紙の資料を机上に広げているとスピーカーが遮られ、相手の声がどこから聞こえるのかがわからなかったり、聞き取りづらくなってしまう。CS-700には「適応型エコーキャンセラー」「ノイズリダクション」「マイク自動追尾」「オートゲインコントロール」などヤマハ独自の音声処理技術が搭載されており、キーボードを叩く音や紙をめくる音などのノイズを収音しない一方、話者の声だけを判別して届けることができる。

さらに、いずれの製品も20万円以下と手頃な価格に設定されているので、予算の限られている中小企業や、大企業の支店・事業所など拠点での導入に適している。

ヤマハのビデオサウンドコラボレーションシステム「CS-700」は、120°の広視野角カメラや独自の音声処理技術により、スムーズな遠隔会議が行える
ヤマハのビデオサウンドコラボレーションシステム「CS-700」は、
120°の広視野角カメラや独自の音声処理技術により、スムーズな遠隔会議が行える

月刊テレコミュニケーション2017年9月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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