社内SNSで企業力アップ![第2回]NTTデータとイプサの成功に学ぶ「社内SNS」導入のポイント

大企業を中心に成功事例が続々と登場している社内SNS。第2回は、NTTデータとイプサの事例から社内SNS導入のポイントを学ぶ。

リスペクターズの意図は成功した。Nextiでは「職位の高い社員が新人としゃべっている」(グローバルITサービス事業推進部開発統括部PMOの酒瀬川泰孝氏)ことがごく普通に行われているという。また、社員の不安を払拭することにも社内SNSは貢献している。例えば、同社の中で女性や中途採用者は少数派で、「自分は受け入れられているのだろうか…」という不安を抱えながら仕事をしてきたようだ。しかし、「女性や中途採用の社員たちが悩みを相談するコミュニティができてから『不安だ』という声を聞かなくなった」と基盤システム事業本部企画部課長代理の金子崇之氏は述懐する。

今年3月に利用者が1万人を超え、グループ会社にも活用が広がっている今、Nextiは部門の壁、職位の壁、会社の壁を越えるコミュニケーションの場となっている。

新人フォローに社内SNSを活用するイプサ

全国のデパートで化粧品の販売を展開しているイプサが社内SNSを導入したのは2009年4月。きっかけは、本部・店舗間で情報の伝達・共有を行うために自社開発した情報システムのハードウェアの保守期間が期限切れを迎えたことだ。そのとき、同社は、単純にハードウェアを新しくするのではなく、情報システムそのものを更改しようと考えた。

情報システムを担当している経営戦略部部長の寺澤晃雄氏は、「情報システムを自社で所有しない時代が来るはず」との思いをもち、ASP/SaaSタイプのシステムを利用すべく、ITベンダーの提案を募った。そこで出会ったのが「Social Tool Mart/SNS」というSaaSを用いて社内SNSを推したNECの提案だった。

当初は、「突拍子もない提案」と思ったものの、寺澤氏はmixiの利用経験があり、SNSが社内のコミュニケーションツールとして使えるのではと考えた。折しも同社は上意下達の情報伝達に加え、情報をボトムアップする仕組みをつくりたいと模索していたこともあり、その目的を達成するツールとして導入を決定した。

2009年1月のテスト導入を経て同年4月から全国の店舗で本格導入を開始。利用者は社員全員(750人)で実名制を取っている。本部からの連絡はすべて社内SNSを通じて行われている。同社の社内SNS利用のユニークな点は、ショップに置いたPCに加え、携帯電話でもアクセスできるようにしていることだ。「携帯電話なら、夜間にコメントを見てすぐに返事ができる」(寺澤氏)というように、いつでもどこでも情報の受発信ができるのがメリットだ。

イプサの社内SNSのログイン画面
イプサの社内SNSのログイン画面

同社の社内SNSで最もよく使われているのは「IPSAプレスルーム」というコミュニティ。同社の商品を紹介した雑誌の記事を広報部門がスキャンして、発売日の前に社内SNSにアップする。それによって、「雑誌で見たんですが…」と店頭を訪ねる客に接するクルーは的確に対応できる。

また、社員同士の絆を強くすることにも使われている。例えば、同期の新人社員同士でつくるコミュニティがそれだ。このコミュニティには同期生だけでなく、新人の研修を担当している社員も加わり、研修終了後も担当した新人たちをフォローする仕組みができている。新人にとって心強いコミュニティといえるだろう。

このように、イプサの中では本部からの連絡という情報伝達に加えて、現場の社員の間で情報やメッセージが伝わるコミュニケーション基盤が整った。導入して1年が経過し、今後は情報をボトムアップさせるツールとして活用することを次のステップとしている。

最終回となる次回は、社内SNSの新たな活用や中堅企業への広がりなどについて紹介する。

第1回「社内SNSで「経営層」と「現場」が一体に――損保ジャパンが「社員いきいきコミュニティ」を始めた理由」

月刊テレコミュニケーション2010年5月号から転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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