<特集>5G SA徹底解説5G SAの企業活用は映像から スライシングやMECと業務改革

5G SAで拡張される大容量・低遅延性能は、映像伝送において特に強みを発揮する。放送や製造、医療など様々な業界が、5G SA活用による業務改革に取り組み始めている。

5G SAの商用サービスがスタートして間もないが、すでに一部企業は導入を始めている。

「LTEや5G NSAなど従来のネットワークでは難しかったことを5G SAで実現したいと考えているお客様が多い」。こう話すのは、NTTドコモの土屋武雄氏だ。

ドコモは昨年12月、法人向けに5G SAサービスを全国で提供開始した。サービス開始と合わせて、企業や自治体など41のパートナーが5G SAを導入し、新たなユースケースやソリューションの創出に取り組んでいる。

5G SAの特徴である大容量や低遅延を活かせる用途として早くも見えてきたのが映像伝送だ。「お客様と取り組みを進める中で、NSA方式と比べて高品質映像の安定的な伝送に適していることを強く実感している」と土屋氏は述べる。

5G SAによる映像伝送の実用化を積極的に進めている業界の1つが、放送業界だ。

例えばTBSは、中継現場と放送センター内副調整室(スタジオサブ)を5G SAと専用線でつなぎ、映像や音声信号のリアルタイム伝送や遠隔制御などの放送業務に活用することを目指している。

映像中継は、繁華街など多くの人が集まる場所で行われることが少なくない。そうした環境下でいかに伝送品質を確保するかは放送業界にとって長年の課題である。そこで5G SAで実装可能になるネットワークスライシングを使い、他の通信の影響を受けることなく安定的に映像を伝送しようとしている。

AbemaTVとKDDIは、今年2月に放送用カメラで撮影した映像を5G SA対応スマートフォンを用いて生中継した。その際、周囲にいる人たちの通信と中継用の通信を論理的に分離することで、回線負荷の高い状態でも安定的に配信できることが実証された(図表1)。

 

図表1 5G SAを使った映像生配信の構成イメージ
図表1 5G SAを使った映像生配信の構成イメージ

映像中継には従来、専用機器を搭載した車両や複数のモバイル回線を束ねて配信するための専用機器などが必要だった。それが5G SAによるネットワークスライシングで品質確保された通信を実現することで、より簡易なシステム構成で中継が行えるようになり、中継設備が簡素化される。将来的には、少人数のスタッフがスマホを使って迅速に中継することも可能になるという。

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