法人向けWi-Fi 6ソリューションが市場にあふれる中、ユニークな立ち位置で人気を博しているのが、Ubiquitiの「UniFi」だ。
Ubiquitiは元Appleのワイヤレスエンジニアが2003年に設立したネットワーク機器ベンダー。機器の総出荷台数は世界累計8500万台超、北米ではシスコに次ぐシェア2番手をArubaやRuckusらと争うほどの存在感を放っており、日本へはソネットが持ち込んだ。
UniFiの人気の理由は3つある。
まず1つ目が、圧倒的なコストパフォーマンスだ。機器自体の価格は他社製品の半分ほど。さらに一般的なクラウド管理型製品の場合、ハードウェアとは別に管理用のライセンス費用がかかるが、UniFiならライセンス費用が不要だ。機器を買えば管理機能が無償で利用できる。この“コスパの良さ”から、最近ではオフィスにとどまらず、オンライン授業やICT教育が必須となった学校からの引き合いも増えている。「ライセンス費用の支払いに苦しんでいる学校関係者にUniFiの費用を伝えたところ、『今の半分ぐらいで済む』と言われたこともあります。実際に使っていただいた学校の方からは、『安価なのに機能は他社製品と遜色ない』と好評を得ています」とソネットの佐藤由氏は話す。
ソネット ICTソリューション推進部 佐藤由氏
イベント用Wi-Fiを6時間で構築 日本語GUIから直感的に管理2つ目の理由は導入・管理の簡単さにある。導入にあたっては、まずアカウントを作成し、コントローラーの管理画面にログイン。コントローラーとデバイスの設定をすればすぐに使い始められる。管理画面も日本語に対応したGUIになっているため、直感的に操作可能だ。
実際、福岡のイベント運営会社がとあるイベントにUniFiを導入したところLAN配線を含めて6時間でWi-Fi環境を構築した実績もある。イベントの最中にアクセスポイントの追加なども行ったが、これもスムーズに対応が完了したという。
UniFiの基本的な構成が図表だ。ルーター、スイッチ、アクセスポイントに加え、「クラウドキー」と呼ばれるコントローラーを現地に置く。クラウドの管理画面からクラウドキーにアクセスすることで、現地にある機器をリモートで一括管理できる。管理画面を操作するにはクラウドアカウントが必要になるが、メールアドレス1つあれば簡単に作成可能だ。
図表 UniFiの構成例
「もちろんこれらの機能もライセンス費用は不要です。1つのクラウドアカウントに対して複数のコントローラーを登録できるので、多拠点のネットワークの管理もできます」と佐藤氏は述べる。
管理画面はネットワークトポロジー表示や、フロアマップ機能も備えており、現地の見取り図を落とし込んでの電波状況のシミュレーションや可視化も可能だ。またDPI機能で、クライアント端末がどのアプリケーションをどのぐらい利用しているかも確認できる。
UniFiの管理画面は日本語に対応したGUIになっている
UniFiのアクセスポイントの導入は、日本では前出のオフィスや学校のほか、工場や病院、介護施設、ホテルなど様々な場所で広がっている。
「ある工場では、エンタープライズ向けからコンシューマー向けまで様々なネットワーク製品の性能を検証・比較したうえで、UniFiのローミングが一番早かったため、採用していただいたケースもあります。コスパだけではなく、性能面でも高く評価されています」(佐藤氏)
屋外にも対応する「UAP-AC-PRO」「FlexHD」は、最近ではキャンプ場をはじめとしたレジャー施設や工場からの問い合わせが増えている。高密度用アクセスポイントの「UWB-XG」は、最大1000クライアントが収容できるため、大規模なステージなどで高密度のWi-Fi環境を構築できる。
ダッシュボードでネットワークの概況
DPI機能でネットワークの利用状況を確認できる