SPECIAL TOPICWi-Fi 6/6E対応デバイスの通信品質を簡単に評価、品質改善を支援するアンリツの計測器

Wi-Fi6/6E対応デバイスの拡大が進んでいる。だが、デバイス開発者にとって、6GHz帯を活かした高速で低遅延な通信を実現するためのチャレンジは意外に多い。短期間で開発・検証を完了するには、デバイスの性能・品質を素早く確認・改善していくことがカギになる。この課題を解決するのがアンリツの「MT8862A」だ。

法的規制の試験だけは不十分?!  性能が発揮できないケースも
さらなる成長・発展が見込まれている無線LANだが、対応する製品は各国で規定されている法的規制の試験に合格する必要がある。また無線LANの発展は新たな品質指標が求められる場合があり、例えば欧州EMC企画ではImmunity試験項目の中に、妨害波照射下における受信感度試験を追加、2022年には義務化がなされる流れにある。無線LANの発展に向けてデバイス・製品に対してより一層の品質担保が求められるが、従来の測定器では試験手順が煩雑になるため、効率よく受信感度試験をできる環境が必要になる。

またアクセスポイントやデバイスの開発において、実は「思いも寄らぬ要因で性能が発揮できないケースが増えています」と有田氏は明かす。

その要因は大きく次の3つだ。

①外部電波干渉妨害:電波の混雑・混信、電子レンジなどの他機器が発する妨害雑音など
②内部電波干渉妨害:自機の電源回路、インバータ、CPU、LCDなどが発する妨害電波
③周辺回路とのマッチング不足:無線LANモジュールやアンテナ、アンテナ結線用同軸コードなどの接続不良など

もちろん、無線LAN対応デバイスなどは世に出る前に、電波法などで定められた試験項目をパスして安全に利用できるようになっている。しかし、「Wi-Fi 6/6E対応のコンポーネントは市場に出始めたばかりで成熟しておらず、性能が十分に発揮できないケースも少なくありません」と通信計測カンパニー IoTテストソリューション事業部 第1ソリューションマーケティング部 課長の増原恵太氏は解説する。


そこでアンリツでは「法的規制の試験項目はもちろんですが、非法的規制の試験項目もできれば実施することを推奨しています」と有田氏は言う。

法的には定められていないが、やった方が良いという試験としては、無線通信の業界団体の米CTIA(Cellular Telecommunications and Internet Association)が実施しているOTA(Over-The-Air)試験、IEEE(電気電子工学会)規格に沿った無線性能試験を挙げている。

「非法的規制の試験を実施した方がよいのはわかるが、時間的に難しい」と考える人も多いだろう。特に6GHz帯対応のデバイスになると、バンド幅が広いのでこれまで以上に多くの時間とコストがかかってしまうからだ。このような試験に関する課題を解決し、デバイスの性能・品質向上に貢献する製品がアンリツにはある。それがアンリツのワイヤレス コネクティビティ テストセット「MT8862A」である。

 

ワイヤレス コネクティビティ テストセット「MT8862A」
シグナリング手法に対応、高度な技術を必要することなく試験できる
ワイヤレス コネクティビティ テストセット「MT8862A」

 

MT8862Aは非法的規制の試験だけでなく、前述の法的規制の試験に追加された受信感度試験も測定可能だ。
MT8862Aは無線性能試験に必要なプロトコル機能を内蔵しているため、デバイスを通常のオペレーション状態のまま試験を十酢することが可能となっている。

一般的に無線LANデバイスの無線特性評価では、試験対象デバイスをテストモードで動作させて試験するノンシグナリング手法が用いられている。ノンシグナリング手法であれば、対向器と通信する高度なプロトコル機能が不要になるため、開発初期段階から無線特性を評価できるからだ。また量産時には必要最低限の接続と設定で試験の高速化が可能になるというメリットもある。

だが、テストモードで行う手法にはデメリットもある。それは実際のユーザーが使う動作状態ではない環境で評価を行うため、市場にでた後、先に挙げた思いもかけないトラブルが生じる可能性があることだ。

そしてもう一つが、テストモードという特殊な動作状態を使いこなすには、高度な技術が求められることだ。「お客さまからも『実際に使用する状態で製品検証をしたい』『誰でも無線品質を検証できる手段が欲しい』という要望が当社にも多く寄せられていました。この要望に応えたのがMT8862Aです」(増原氏)

MT8862Aの最大の特徴は、「高度な技術を必要とせず、誰でも簡単に無線品質を検証できるようになること」と有田氏は話す。つまり経験豊富な無線通信エンジニアがいなくても、無線通信を活用した製品の開発が容易にできるようになるわけだ。

MT8862Aが採用するシグナリング手法のメリットはそれだけではない。実際に無線LAN通信を行っている状態(ネットワークモード)で、信号品質を評価する。そのためテストモードでは見つけられなかった問題を検出・解決することができるようになることだ。

またテストモードによる手法ではデバイス制御のためのケーブル接続が必要になるが、シグナリング手法では不要になるなど、試験環境がシンプルなので評価工数の削減も可能になる。さらには完成品の最終評価、ファームウェア更新時などの再評価が容易にできるようになるという。「ワンボックスで双方を実施できる世界でも唯一無二のWi-Fi 6Eデバイス試験に対応した製品です」と有田氏は言い切る。

MT8862Aはシグナリング手法だけではなく、テストモードを活用した手法にも対応しているが、「あくまでも主流は小規模製造向けや完成品の最終性能確認を目的としており、大規模製造業向けには、より効率的な量産試験が可能なMT8870Aを用意しています。完成品が実際に使われる環境で評価したい、経験豊富な無線通信技術者が不足しているというのであればシグナリング手法を採用しているMT8862A、量産工程で大量の無線通信モジュールを評価するのであればノンシグナリング手法を採用したMT8870Aというように使い分けることで、より品質の向上につなげられると思います」(有田氏)

 


 MT8862Aのテストイメージ


競合他社にはいくつかの機器を組み合わせることにより無線LANのシグナリング手法に対応している機種はあるが、「コロナ禍以降、自宅からオフィスの試験環境を制御して試験することも増えています。1ボックスにまとまっていればオフィス内での移動も簡単ですし、場所も取りません。何より最初から内蔵して開発されているので、安定して効率的な試験環境を提供できます」と増原氏は自信を見せる。

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