Microsoft Lyncで変わるリアルタイムコミュニケーション [第3回]ムダな会議も減らせる「Lync」のWeb会議とは?

マイクロソフトの新しいリアルタイムコミュニケーション基盤「Microsoft Lync」はWeb会議の機能も充実している。第3回はLyncのWeb会議機能にフォーカスを当てる。

最近、Web会議の導入企業が増えているが、リアルタイムコミュニケーションの統合基盤である「Microsoft Lync」も当然、Web会議機能を搭載している。第3回の今回は、LyncのWeb会議機能について見ていくことにしよう(連載目次はこちら

LyncのWeb会議機能の特色

Lyncの会議関連機能について整理したのが下の図表だ。現在、市場には多くのWeb会議専用のソリューションがあるが、Lyncはそうした専用のWeb会議で一般的なデスクトップ共有やアプリケーション共有などの機能すべてを備えたうえで、さらに次の特徴を有している。

図表 LyncのWeb会議機能の概要
図表 LyncのWeb会議機能の概要

まずは会議の開催が簡単に行えることだ。Lyncの長所の1つがOffice製品との高度な統合にあることは繰り返し述べてきたが、Outlookの予定表から1ステップで会議を設定することができる。また、Lyncのクライアントソフトである「Lync 2010」から1クリックで参加者を招待し、アドホック(臨時)会議を開催することも可能だ。

会議への参加方法も多様な手段が用意されている。基本はLync 2010からの参加となるが、手元にあるPCにLync 2010がインストールされていない場合には、次の2つの方法が選べる。1つは外部参加者用のAttendeeアプリケーションを無償ダウンロードする方法。もう1つは、Webブラウザ用のクライアントである「Lync Web App」を使って参加する方法だ。

ただ、Lync Web Appは音声をサポートしておらず、単独で利用できるのはデスクトップ共有などだけのため、音声については携帯電話などから別途ダイヤルイン/ダイヤルアウトで参加する形となる。当然、この機能を使って、音声だけで会議に参加することも可能だ。

Lync 2010で会議中の画面
Lync 2010で会議中の画面

Lyncの前身である「Office Communications Server 2007 R2」(OCS)との機能的な違いとしては、ホワイトボード機能が挙げられる。これは、リアルタイムに複数の人がホワイトボードに書き込める機能。テキスト入力やレーザーポインターのような機能も備えている。また、これは従来からある機能だが、会議の模様はすべてレコーディングしておくことが可能だ。レコーディング内容は、誰でも閲覧できるWindows Media形式の動画に変換することもできる。

導入コストもかなりリーズナブルに

OCSと比べてコスト面での導入ハードルが大幅に下がった点もLyncの重要な特徴だ。

Lyncには「IMとプレゼンス」「Web会議」「VoIP外線通話」の3つの機能があり、それぞれに対応するクライアントアクセスライセンス(CAL)が用意されていることは第1回で解説した。IMとプレゼンスはStandard CAL、Web会議はEnterprise CAL、VoIP外線通話はPlus CALが該当する。

導入コストが安くなった理由の1点目は、従来、1つのCALでまとめて提供されていたWeb会議とVoIP外線通話の両機能が、別々のCALとなったためだ。そのため、Web会議のみが当面は必要で、VoIP外線通話はとりあえず不要なケースでは、これまでよりコストは安くなる。最初からVoIP外線通話まで導入する企業は少数派だ。段階的に導入を図っていく企業が大半であることから、ほとんどの企業において初期コストは下がるといっていいだろう。

2点目の理由は、Standard CALだけで会議に参加できるようになったからだ。Enterprise CALが必要なのは、会議を主催・招集するユーザーだけとなった。OCSでは、会議の主催者も参加者もEnterprise CALが必要だったのである。これは、非常に大きな変更点である。

OCSの導入企業の中には、「Web会議を検討するなかで、OCSを選択した」という企業も少なくない。より低コストになったことで、Web会議ツールとしてのLyncのバリューはかなり高まったといえる。

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