Microsoft Lyncで変わるリアルタイムコミュニケーション [第1回]ビジネススピードに革新、社員をつなげる「Lync」の実力

リアルタイムなコミュニケーションを円滑化する――。2010年内に提供が開始される「Microsoft Lync」は、人同士のつながりを円滑にすることで、生産性の向上、ビジネスプロセスの改善を実現する。本連載では、その機能と効果、導入シナリオを解説する。

必要な情報を持つ相手を見つけ出し、会議が終わるタイミングを狙って電話をかけて捕まえる。これは1つの例だが、リアルタイムなコミュニケーションが円滑に行われるかどうかは、その企業のビジネスのスピードに大きな影響を及ぼす。しかも、社内と社外、異なる部署・拠点間など離れた社員が密接に連携しながら業務をこなし、ワークスタイルも多様化している昨今はなおさらだ。

ネットワークとデバイスの進化により、我々はいつでもどこからでも社内のデータや情報にアクセスできる環境を得た。それはビジネスのスピードを大きく向上させたが、もう1つ大きな課題が残っている。常にサーバーの中にあって動かないデータと違い、常に状況が変化する人同士をどう効率的に結びつけるかだ。

人と人をつなげる「Lync」

マイクロソフトは2010年末、この“人と人のつながり”を改善するための新たな製品の提供を始める。「Microsoft Lync(マイクロソフト リンク)」だ。

Microsoft Lyncは、社員の状況などを管理するプレゼンスと、電話、インスタントメッセージング(IM)、Web会議といった各種のリアルタイムコミュニケーションツールを統合することでビジネスプロセスを改善する、リアルタイムコミュニケーションプラットフォームである。マイクロソフトは従来、この分野の製品として「Office Communications Server 2007(OCS 2007)」を提供してきた。そのOCS 2007の機能を強化するととともに、「Office 2010」関連製品群の1つとしてラインナップされるのがLyncである。

その機能は大きく次の3つに分けられる。【1】IMとプレゼンス、【2】Web会議、【3】VoIP外線通話だ。現状、電話のみに頼っているリアルタイムコミュニケーションにIMとWeb会議という新たな手段を加え、かつプレゼンスによってそれらを効率的に活用できるようにする。また、これらリアルタイムコミュニケーションのすべてが単一のインターフェースに統合されることも重要な点だ。統合コミュニケーションクライアント「Lync 2010」からすべての機能が実行できる。

プレゼンスの確認、IM、電話、Web会議の実行など、コミュニケーションのすべてが「Lync 2010」の単一のインターフェースから始まる

なお、【1】~【3】は、段階的な導入が可能になっている。【1】は「Standard CAL」、【2】は「Enterprise CAL」、【3】は「Plus CAL」とライセンス体系が別れており、まずは既存の電話とIM、プレゼンスの統合から小規模に始めるなど、緩やかな移行形態も選べる。電話については、既存のハードウェアPBXシステムを統合する、LyncのソフトウェアPBXへと完全移行するという2つの選択肢が用意されている。

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