モバイルキャリアが提供するパブリック5Gのエリアがじわじわと広がり、さらにローカル5Gの実証実験も重ねられるなか、この両者を連携させる“ハイブリッド5G”の実現に向けた取り組みが具体化している。
KDDIは2021年9月、富士通とハイブリッド5Gに関するパートナーシップを締結した。このパートナーシップでは、ローカル5Gとau 5Gを相互連携する「5G Service Platform」の実現に向けた技術実証、リアルとバーチャルを融合したBtoBtoXサービスの共創、両社が運営する5Gアライアンスへの相互参加によるパートナー企業とのエコシステムの構築を実施する。
取り組みの背景を、KDDI 5G・IoTサービス企画部 部長の野口一宙氏はこう話す。
「KDDIは元々パブリック5Gを提供している立場であるが、キャリアが提供する5Gだけで全ての産業を網羅できるとは思っていない。ローカル5Gが総務省で制度化され、各事業者で広がりつつあるなか、パブリック5Gとローカル5Gは共存していくことを前提にするべきと考えている。そこで富士通が展開するローカル5Gとau5Gが連携できれば利用シーンが広がると考えた」
(左から)KDDI 5G・IoTサービス企画部 部長 野口一宙氏、KDDI 5G・IoTサービス企画部 副部長 平田康彦氏、富士通 5G Vertical Service室 シニアディレクター 永井一嘉氏、富士通 5G Vertical Service室 シニアマネージャー 石井貴子氏
富士通も同様の期待を抱く。ローカル5Gは局所的にしか使えないためユースケースが限定されがちだが、「広域にあるキャリアのネットワークまで含めればユースケースが広がるし、そういったネットワークを使いたいというお客様からのニーズもあった」と富士通 5G Vertical Service室 シニアディレクターの永井一嘉氏は語る。
連携の基盤となるのが、5G Service Platformだ。ローカル5Gとau 5Gを連携させることでBtoBtoXのサービスを全網羅的に繋ぐプラットフォームである。
「パブリック/ローカル5Gのネットワーク上に、KDDIのIDaaSである『IDマネージャー』や、付随する課金・決済などの機能を追加してプラットフォームを作る。さらに、例えばXRなどのアプリケーションを組み合わせて提供していくところに、まずは取り組んでいる」とKDDI 5G・IoTサービス企画部 副部長の平田康彦氏は説明する。